がんでお金がない。でも安心して過ごせる人の特徴とは?
「がんでお金が無い」
備えていたとしても不安になる、お金のこと。
がんになると、身体や治療のことと一緒にお金や生活面での不安も大きくなりますよね。
しかし安心して治療生活を過ごせているAさん(患者さん)がいます。
不安に思う方々とAさんは何が違うのでしょうか。
Aさんが順番に行っていった方法をもとに、がんでお金がなくても安心して過ごせるコツをがん患者さんのお金の専門家
看護師FPの黒田がお伝えします。
「がんでお金がない」にも様々な種類、程度があります。
もちろん本当に無いこともあります。
しかし今後の不安が募ってお金の全体像が見えていないこともあるのです。
不安な時こそお金も見える化することが大切です。
思い出してみてください。
治療スケジュールや副作用など、言葉だけの説明よりも、「今後の予定表」を紙で渡され一つ一つ目で見ながら確認できると安心感が違いますよね。(参考資料:国立がん研究センター中央病院 がん種別化学療法について 使用薬剤とその副作用)
先々の予想が立てられると事前に対応策を行うこともできます。
ですので、このような形で「お金がない」不安をまず確認し、改善点があるようなら事前に改善していきましょう。
治療費自体が変更可能かを検証
最初にお会いしたとき、Aさん(患者さん)も不安でいっぱいの表情でした。
私はAさんが困っている内容はどちらなのかをお聞きしました。
① 治療費自体が高い。治療費がもう少し収まればなんとかなりそう
② 収入が減ったので、治療費が収まったとしても他の支払いが厳しい
身体もお金も、何が不安(不調)なのかを確認してみないことには解決への一歩は踏み出せません。
この2つで解決方法も変わってくるからです。
あなたはどちらかというと①②どちらでしょうか?
①を選ばれた場合は、治療費自体を制度の活用などで減らせる可能性があります。
治療費が減らせることで、何とかやっていけそうという方が一定数いるのも確かです。
お読みの上で、それでも厳しいようであれば、②の方と同じ対処法を考えていきましょう。
収入面で利用できる制度や保険、今までの貯蓄をチェック
②を選ばれた場合は、治療費自体は健康保険の制度上、現在できる限りの金額まで抑えられているということですね。Aさんもこちらでした。
治療費自体を減らすことが難しいようであれば、次は収入の確保について考えていきます。
体力低下や抗がん剤の副作用で働き続けることが難しい場合には、有休や傷病手当金など利用できる制度がないかを確認しましょう。
傷病手当金が利用できる場合は、手取り額を確認しておくことも大切です。
「がん患者が傷病手当金受給中に注意すること」の計算方法を参考にしてください。
また、医療保険やがん保険に加入しているようであれば、該当する給付金がないかも確認しましょう。
生命保険の医療特約も該当する可能性があります。
そして、貯蓄です。「今すぐ使えるお金のみ」の貯蓄を確認してみましょう。
ここは大切なところです。
近い将来必要になりそうな教育費などのお金をここに含めてしまわないようにしましょうね。
ここまでで「治療費」と「収入」「貯蓄」が確認できました。
今度はこれを統合してお金を見える化にしていきます。
すべてを統合し、お金を見える化する
今の状況と少し先の状況(1年~2年先)の生活の見通しを確認していきます。
このような感じになります。
Excelが使える方でしたら、入力は簡単だと思います。
ご自宅ですぐに取り掛かれます。
体調の良い時に少し時間を取ってやってみましょう。
入力できると、1年後または2年後(2年分作成した場合)のお金の流れが分かります。
「お金がない」と不安を抱えている方の多くは、先が読めないために生じている漠然とした不安です。
お金の流れがわかることで「思ったよりも大丈夫そう」と安心した患者さんやご家族も多くいました。
ここで安心できた方も、治療やお金の状況というのは変わる可能性がありますので、その都度軌道修正していきましょうね。
赤字になった場合に考えること
しかし、Aさんはこの見える化をした結果、赤字になりました。
ますますどうしようと不安を募らせていましたが、大丈夫です。
「ここが解決のポイントか!」と分かったら、改善方法を検討していけば良いのです。
今気づけたことはとても大きな収穫です。
同じ赤字でも、
・なってから気づく
・事前にわかって改善できる
のでは大きく違いますよね。
改善に向けてどうなりたいのかを考えてみると良いですよ。
ちなみにAさんはこのような希望がありました。
○ 貯蓄をなるべく持たせたい
○ 家族に無理はさせたくない
○ 安心して眠れるようになりたい
ここは私が大切にしている部分でもあります。
お金の面で改善できたとしても、患者さんや家族にとって希望がない状態で無理を強いては元も子もありません。
無理が生じない改善方法がポイントです。
では改善方法をお伝えしていきますね。
改善方法は大きく分けて2つです。
食費・光熱費などの「変動費」と、「固定費」です。
まずは皆さんが始めやすい食費や光熱費の方から説明しますね。
改善点の実行① 食費や光熱費は節約しすぎない
節約雑誌などでは、食費や光熱費を切り詰めているのが一般的です。
健康で短期間なら食費や光熱費の節約をがんばることができます。
しかしがん患者さんに限ってはライフラインとなる食費や光熱費を節約しすぎるのはお勧めできません。
過度な使い方をしていたなら別ですが、このような項目は減らしても費用対効果が良くないのです。
節約できる金額は数千円です。良くても1万円台でしょう。
今、がん治療をがんばっている中でのこれ以上の負担、そして家族まで一緒に負担を強いられるというのは、体力的にも精神的にもキツイのではないでしょうか。
無理が生じ治療意欲や家族関係に影響を及ぼしたケースを見てきています。
なので私はFPとしてあなたにお勧めすることはできません。
私ががん患者さん専門のFPとして注目しているのが、毎月固定でかかる費用です。
通帳を見てください。今どんな費用がかかっているのかがすぐにわかりますよ。
きっとあなたのお家でも毎月固定でかかっているこのような費用があると思います。
✅住宅費(住宅ローンや家賃)
✅生命保険料(ほかにも医療、がん保険や自動車保険、個人年金保険など)
✅通信費(スマホ代、インターネットなど)
✅会費関係(習いごとや入会しているもの)
改善点の実行② 固定費の変更は難しいが効果あり
がんばり次第で変わる食費などの変動費に比べると、当たり前に毎月かかっていた固定費の変更というのは、はっきり言って大変ですよね。
Aさんも「治療で大変なのに、ここまでできない」とおっしゃいました。
ただ、一度変えてしまえばこっちのものです。もう放っておいて良いのですよ。
A)頑張って毎月食費を2万円節約する
B) あまり利用していない会費関係や重複している保険内容を一度2万円分変更する
この2つは家計上同じ2万円なのですから。
実際にAさんは家族の生命保険で重複している部分があったのと、スマホの料金、そして最近利用していないスポーツジムの会費やクレジットカードの解約などで1ヶ月あたり5万円の変化が見られました。
お金が見える化でき、どこがかかっているのかがわかったことが、この変化へのきっかけとなりました。
では、どのように検討していけば良いのか、最初の第一歩をお伝えしますね。
まずはこの3点を整理して考えてみるところから始めてみましょう。
✅ 購入(加入)していた時に比べて、今の価値や金利はどうなのか
✅ 解約(売却)した方が良いのか、変更したほうが良いのか
✅ 変更することでデメリットは生じないか(ここ重要です)
「がんでお金がない」から安心して過ごせるようになった理由
Aさんのサポートに携わらせていただいた経験から、なぜAさんが安心を手に入れることができたのかを振り返り、この3点があったからこそなのかと感じました。
◎ 不安から目を背けなかった
◎ 行動に移すことができた
◎ 不安を抱え込まなかった
これらは今までお金のことで不安だったけれど、笑顔がみられるようになった患者さんや家族に共通している特徴だなと感じています。
今回はがんになった後のお金の状況の確認方法と赤字になった時の改善方法を解説しました。
Aさんのように赤字がわかったとしても、切り詰めずに改善できる方法もあるということがお分かりいただけたかと思います。
早くどうにかしたいけれど、どこから手を付けて良いかわからないという方は、一度がん患者に詳しいFP(ファイナンシャル・プランナー)に相談し、本当にお金が無いのかどうか、それとも原因があって改善可能なのかをシミュレーションしてみることをお勧めします。(→「がん患者がFPに相談すると何が変わるのか」)
なぜ、「がんでお金がない」と不安だったAさんが、
たった1時間でお金の心配が無くなったのか?
私、黒田は10年間の看護師経験を持ちながら、「高額療養費では解決できない、がん治療中のお金の悩み」が多くの患者さんにとって大きな負担であることを痛感してきました。FPのお金の知識を活用し、一人でも多くの方に安心した生活を提供したいという思いで、日々活動しています。
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- 治療費の不安を解消したい方に向けて、マンツーマンで行うオーダーメイド家計相談を行っています。
- 完全予約制で、毎月新規の受付は3名限定です。継続相談が多いため、早めのご予約をおすすめします。
- 今月の枠が埋まっている場合でも、来月のご案内を優先的にさせていただきます。
筆者プロフィール
-
10年間の看護師経験を活かしたFPとして、がん患者さん、ご家族専門に年間およそ180件の家計相談を行っています。
治療費捻出だけでなく、安心して治療が行えるための生活費や教育費、住居費の悩み解決を得意としています。
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書籍:「がんになったら知っておきたいお金の話 看護師FPが授ける家計、制度、就労の知恵」(日経メディカル開発)
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