抗がん剤の治療費が払えず延期や中止を決断する前に

「抗がん剤の治療費が出せそうにない」

今までは何とかなってきたことでも、毎月毎月続くがん治療の費用を捻出することは容易ではありません。

このようなことがあったら治療の意欲が落ちますし、生活するのにも困ってしまいますよね。

当事務所には毎月全国から治療費の悩みが寄せられます。

せっかく今まで続けてきた治療は今後も続けていきたいですよね。

実は、

抗がん剤治療の延期や中止を踏みとどまることだって可能なのです。

ただし、そのためには行動するための「正しい知識」が必要です。

そこでこの記事では、治療を継続していけるために取るべき手段と具体的なやるべきことについて、がん治療費、借金(ローン)返済の専門家 看護師FP黒田が徹底的に解説します。

難しいと思っても諦めないでください。

身体と同じで、お金のことも気づいた時がタイミングです。

早めの行動で解決への選択肢が増える可能性があります。

最後までしっかり読んで、すぐにでも行動を開始しましょう。

300名の相談を基に作成した、治療費の捻出法や治療継続しながらのカードローン返済法のノウハウが58ページにギュッと詰まった1冊です。8/20~リニューアル!

今まで寄せられた抗がん剤治療費の悩み

治療費が出せないので、治療を断念・延期したり、治療法を変更する

これは医療現場では珍しいことではありません。

今あなたが行っているがん治療が健康保険適応の治療法であれば、高額療養費によりひと月の自己負担額には上限がありますよね。

治療期間が3ヶ月といった、期間限定であれば貯蓄や保険の給付金でしのげる可能性は高いでしょう。

しかし、「これからの治療費、払っていけるの?」と思い、悩むのは、このような方が多いです。

●まず1クール化学療法を行ってみて、検査結果で今後の治療方針を決めていくという人
●術前ハーセプチンを行う人
●再発された方でずっと化学療法を行う予定という人
●免疫チェックポイント療法を行う人など

長期間治療が決まっていたり、検査結果次第で今後がわからないという人ですね。
さらに、

●子どもの教育費や住宅ローンなどがある
●一人暮らし
●カードローンや借金を抱えている
●もともと赤字家計

こういった家族構成や元々のお金のことも関係している場合もあります。

患者さん

同じような状況の人ってたくさんいるのに、なぜ私は解決しないんでしょうか?

看護師FP黒田

治療費の悩みが大きくなる方は、抱え込んでしまう傾向がありますね。
身体のことを医療者に打ち明けるように、お金のことも打ち明けて良いのですよ。

がん治療のお金の悩みが打ち明けずらい現状

「お金の悩みというのはどこに打ち明けたら良いかわからない」という声があります。

今打ち明けられそうな人はいますか?

「お金のことを医療者に聞くのは、治療よりもお金を優先しているのではないかと思われそうでとても言えない。」という方もいたので、もしかしたら病院にも言いづらいと思っていらっしゃるかもしれませんね。


今から紹介する方はまさに誰にも打ち明けられず、治療を断念してしまった方です。

がん治療の継続を断念したケース

【患者さんの情報】

・40歳代男性、消化器系のがんにより、抗がん剤の治療をしていた
・高額療養費の多数該当により月々の治療費は5万円ほど
・継続的にかかっているため3年間の合計治療費は200万円を超えていた
・治療開始当初中学生だった子どもも高校生となり、大学受験を控えていた
・住宅ローンが20年残っていた

治療を行っていない期間働けるかというと、これまでの治療の合併症で腹腔内膿瘍や肝機能の低下などで入退院を繰り返してきており、以前のような働き方は難しかったようです。

このような複雑な原因により、今後の収入増加が見込めないこと、そして継続した治療費の捻出が他の支出への影響が大きいため、治療継続を断念しました。

この決断に至った理由は患者さんご自身の気持ちが大きく占めていました。

「家族に辛い思いをさせてまで治療を行う意味があるのか…」

治療選択する際、病院では治療内容の説明とともにメリット・デメリットも説明します。

それを聞いた上で患者さん自身が治療法を選択するのですが、この時治療の効果の可能性を数値で聞きました。

この方は確率とお金と家族関係の間で悩んだそうです。

このような事例に関しては、拙著「がんになったら知っておきたいお金の話 看護師FPが授ける家計、制度、就労の知恵」の113ページや156ページにも記載していますので、お持ちの方は合わせてご覧ください。

どこを優先するべきか。

ここに患者さん自身の心境が大きく現れます。

治療を断念するまでには様々な葛藤があったと思います。

色々とご家族で話し合った結果でもありますが、医療者へは相談ではなく結果の報告だったそうです。この患者さんが特殊なケースではなく、研究の結果としても発表されています。

経済的理由で治療を変更・中止した患者は、医師1人当たり1ヵ月に、入院では1.5人、外来では1.6人である。経済的な理由による治療変更の内訳は、固形がんでは、予定した薬剤の変更が56%、無投薬が16%などであり、変更した事例は分子標的治療が半数を占める。

濃沼信夫「がんの医療経済的な解析を踏まえた患者負担の在り方に関する研究」2013

このような経済的な理由でがん治療の継続に悩んだ時、どのように解決したら良いのでしょうか。

今すぐできる!抗がん剤を中止、延期しない2つのポイント

ポイント① 医療者へどう打ち明けるか

医療者にお金のことを伝えても大丈夫かと不安な気持ちもあるでしょう。

しかし、医療者は早めにあなたの経済面の悩みをキャッチできると、早めに対応することができるのです。

結果、あなたの治療や生活の選択肢は広がります。

まずは一番身近な医療スタッフに打ち明けてみましょう。
化学療法センターの担当看護師や相談支援センターの医療ソーシャルワーカー、看護師などに打ち明けている患者さんが多いですよ。

打ち明けられそうな時がそのタイミングなのですが、医療者としても早めに知っていればもっと良い方法があったかもしれないということもあります。

あなたの場合はいかがでしょうか?

重要なのは、あなたはもちろんのこと、家族も含めた生活が大きく変わってしまう前です。

治療費の分割払いや使えそうな制度の案内など、解決方法が見つかると思います。

患者さん

病院で治療費を分割にしてもらえることになりました!
これでもう大丈夫ですね!

看護師FP黒田

いえ、治療費は猶予はしてもらえたとしても、ゼロにはなっていませんよ。
この金額をどのようにしたら支払っていけるのか、ここからが大切なところなんですよ。

ポイント② 治療費以外の費用にも視野を広げる

今までは治療費自体のことについて述べましたが、それだけではやはり限界があります。

そこで大切なのは、治療費だけでなくお金全体をみていくことです。

なぜなのかというと、治療費は色々ある支払いの一部だからです。

治療費以外の支払い関係を調整し、治療費にまわす

これが2つ目のポイントです。

患者さん

これ以上減らせるところなんてないです…

看護師FP黒田

皆さん、最初はそうおっしゃいますよ。
この方法で安心して治療を継続できている方が、どのようにして実現したのかをご紹介しますね。

がん治療の延期に悩む⇒治療費を作り出すことに成功!

【相談者】

・50歳代の男性、妻とお子さん2人(高校生、中学生)の4人家族
・大腸がん肝臓転移で手術の後1年間抗がん剤と分子標的薬などの治療を行う。今後も継続の予定。
・営業職、現在は副作用や体力低下あり、勤務先の配慮により事務職へ配置転換

【悩み】

・配置転換によって働き続けることは可能
→だけど収入が減ったことで家計を圧迫してしまう
・毎月かかる治療費が出せなくなり、主治医へ治療の延期を申し出た

【相談の実際】

お話を伺うと、

・住む家を失いたくないため住宅ローンを無理して払っていた

・子どもには苦労させたくはないという親心で受験費用を優先した

この結果、治療費に回すことが厳しくなったということがわかりました。

がん治療はお金が続けば継続したい。
けれど、今後ずっと続く治療への不安、身体の不安がある
ということも打ち明けられました。

お話を伺う際には、

✅治療費とローン返済額
✅教育費や生活費などが今後組み立て次第で支払い可能かどうか

という視点で試算していきます。
この相談者のお話を伺ったときも、

組み立て次第で今後治療費やローン返済は可能

だと確信でき、解決方法をご案内できたのです。

【解決法をご案内した後の相談者の感想】
「もう治療を辞めなければと思っていたのですが、子どもの受験費用や治療費にまわせると教えていただき、安心しました。
治療続けていけそうです。今までどこに相談したら良いかわかりませんでした。」

経済面を組み立てていくための2つの選択肢

今、ご紹介した経済面の組み立てが行えると、浮いたお金で治療費に回すことが可能です。

そのために、①あなた自身で行う、または②あなた以外の人が行うの2つの選択肢があります。
まずは自分でできる方法①をご紹介します。

 まずは病院に治療費の相談をする

✅ ガイドブック(無料)に沿って利用できる制度やお金の手続きを行う

などがあります。

ただし、がん治療中の経済面の組み立て方は様々な制度や金融経済の知識が必要です。

そのため調べる時間もかかり、思うように進まないことがあります。

抗がん剤の副作用が出ている方は、体調が思わしくないときに調べることも大変ですよね。

そこで、もう一つの選択肢②です。

「なるべく体と心に負担の少ない方法で経済面を組み立て直したい!」

という場合におすすめなのは、

FP(ファイナンシャル・プランナー)に依頼する

方法です。

以下のメリット・デメリットから分かるように、FPに依頼するほうが、あなたの手間・時間・精神的負担が大きく削減できるのです。これは今まで300名以上のご相談対応してきた経験より導き出したものです。

自分で経済面を組み立てるFPに依頼する
メリットお金がかからない専門的な手法でよりお金が浮く可能性
手間がかからない
精神的負担が少ない
デメリットはじめての方はどの方法が妥当か
判断するのが難しい
労力と手間がかかる
費用がかかる
(初回無料としているところもある)
患者さん

自分にとっては、どちらが良いのか…よく考えてみます。
ところで、治療費が払えないときに行ってはいけないことってありますか?

看護師FP黒田

良い質問ですね。
行ってはいけないことも、今のうちに押さえておきましょう!

治療費が払えないときに行ってはいけないこと

抗がん剤の治療費が支払えないときに絶対に行ってはいけないこと、

それは、

クレジットカードで支払うこと
キャッシングして支払うこと

この2つです。

治療費の捻出だけでなく、カード支払いの問題も生じてしまうためです。
支払いが苦しい状態での借り入れというのは、返済が困難になるリスクが非常に高いので止めておきましょう。

カードでの支払いを検討されている場合は、


実行に移す前に


ぜひご相談ください。

もし、あなたが既にクレジットカードの悩みもあるようでしたら、
借金を抱えるがん患者が治療を続けていくために」も合わせてお読みください。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
今回は抗がん剤の治療費が出せないときの対処法として

「病院への相談」
「治療費以外の費用の調整」

について解説しました。

お読みになり、お分かりいただけたと思いますが、治療費に関しては

「これを行えばすぐに解決する」

といった魔法のような方法はありません。

治療費を作り出し、安心して治療を続けるために一番大切なのは、

1日でも早く動き出すことです。

なぜ、抗がん剤治療の継続に悩んだ38歳の乳がんの彼女が、
たった1時間でお金の心配が無くなったのか?

最後までお読みいただきありがとうございました。
がん治療中のお金のことでお悩みでしたら、こういった記事でお答えしますので、以下のフォームまたはLINEからご質問を投稿してください。(名前や治療内容の詳しい内容は掲載しませんのでご安心ください。)
300名の相談実績を持つ、がん患者さんのお金の専門家 看護師FPの黒田がお答えします。

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筆者プロフィール

黒田 ちはる
黒田 ちはるがん患者さんのお金の専門家 看護師FP
千葉で10年間の看護師経験を活かしたFPとして、がん患者さん、ご家族専門の家計相談を行っています。2016年より全国から300名以上のご相談を担当してきました。
東京都、埼玉県内のがん診療連携拠点病院での家計相談員を務めています。

書籍:「がんになったら知っておきたいお金の話 看護師FPが授ける家計、制度、就労の知恵」(日経メディカル開発)