はじめまして、看護師FP(ファイナンシャル・プランナー)の黒田ちはるです。

FPと言えば、「保険を販売している人」「資産運用や節約アドバイザー?」というイメージをお持ちの方は多いのではないでしょうか。

私は看護師の経験を持つFP(家計の専門家)として、

「がん患者さんの治療生活を家計の面からケア」

という取り組みをしています。

がん患者さん、ご家族が家計の不安が解消されて、安心して治療に専念できることや、療養生活が送れることを目標としています。

病院での看護師業務からFPに転身した理由

FPの資格を取ろうと思ったのは、ありきたりですが結婚を機に家計のことを勉強するためでした。

FPの勉強では、年金・保険・住宅ローン・税金・相続・不動産などお金に関する内容をたくさん学びます。

その中で、制度の知識や家計のやりくりの方法というのは、「健康な方だけではなく病気になってからも同じように必要なのではないか」と気づいたのです。医療機関では、患者さんの資産の悩みに気付いたとしてもアドバイスしにくい現状があります。

あくまでも個人的なお金の話なので、患者さんも病院で相談して良いのかためらってしまうためです。

一方で、解決先となる役所や金融機関では「治療中のお金の悩みがなかなか伝わらない」ということが起きています。

病棟で勤務していた頃の患者さん・ご家族との関わりを振り返り、医療従事者としては限界のあるお金(個人資産や収支のアドバイス)の部分について、医療従事者とFPが協働していくことで患者さんやご家族の生活を支えていけるのではと思いました。

まず考えたのは勤めている病院で看護師として勤務しながらFPの相談対応を始めることでした。

しかし看護師は命を預かる大切な仕事、FPも今後の生活を担う大切な仕事であるため、看護師とFPの二足の草鞋を履くことを断念しました。主にこの3つの理由です。

①医療職での範疇を超えている超えているため(「看護師FPだけど白衣を着ていない理由」参照)
②全国の悩んでいる患者さん、ご家族には対応ができない
③全国各地で患者支援に携わるFPを増やすことが急務であること

こうして、2016年3月に全国初の看護師経験者による「がん患者専門の家計相談事務所」を開業しました。

なぜ、病気の中でもがんに特化しているのか?

他にも難病指定や障害を抱える可能性のある疾患はたくさんあります。

しかし私はこれまでの看護師の経験上「見通しのつきにくいがんの特性」やがんに直結した制度が整備されていないという点にサポートの必要性を感じてこの活動を始めたということもあり、がんの患者さんに特化しています。

① 治療効果や副作用の出方は行ってみないとわからない
② 身体の見通しをつけることが難しい
③ 身体の状態に仕事や生活面は影響しているため、経済面の見通しも難しくなる

働く世代のがん治療の悩み

また、働く世代にとっては、仕事と治療の両立の問題もあります。

働くがん患者の約4人に1人が、がんと診断受けた後に依願退職や解雇となっています。(令和2年度 国立がん研究センター患者体験調査結果

働く目的に夢や生きがいがあると同様、生活設計も大きく影響しています。
高額療養費制度を活用し、月々にかかる治療費自体は自己負担額までですが、治療が予期せぬ長期間となることも少なくはありません。

患者さん自身だけでなく家族の生活環境も変化することや、特に働く世代は住宅ローンや教育費などを抱えている家庭が多く、この『長期』という問題が重く伸し掛かっています。

「長期にわたる治療を受けながら生活を維持したい」と考える方のサポートを行いたいいう思いでこの活動を続けています。

この取り組みでの目標

将来は全国の医療機関でのFPによる家計相談窓口をつくりたいと考えています。

患者さんやご家族が身体の悩みを解決できる場所である医療機関で、気軽に治療生活に関連したお金の悩みを相談できることが当たり前の世の中になることを願い、活動を続けています。

相談により生活破綻や離職の回避、そして治療生活の選択の幅が広がることで、がん患者さん・ご家族の心身の負担が軽減することを目標としています。
そのために、現在家計に悩んでいるがん患者さんの相談を中心に、医療・FP両方の経験を持つものとして、医療の現場で活躍できるFPを増やしていくことや、医療現場の理解・協力を広げていくこと、そして健康な方にとっても自身や周りの大切な人が困った時に必要な「がんとお金」の知識を身につけていただけるよう、啓発活動を行っています。

どうぞよろしくお願いいたします。

令和2年10月25日更新

看護師FPを志すきっかけとなった患者さんの存在
看護師FPとして大切にしていること
MSW・看護師とFPが協働していくことの相乗効果