がん治療中にボーナスが出ないときの応急処置法

夏のボーナス払いの支払いが厳しいがん患者さんに向けた内容です。

毎年この時期になると、がん患者さんからのボーナス払いの質問が多くなります。

がん治療を安心して継続していくためにも、支払いが迫っているときの緊急処置の方法と、お金の仕切り直しの方法をがん患者さん専門の看護師FPがご説明します。

そもそもボーナスとは?

ボーナスとは、給料以外に夏季や年末などに支払われる一時金、賞与、特別手当のことを言います。

給料とは違い、労働基準法などで「支払わなければならない」と定められているわけではないので、業績悪化の時にはボーナスを支給する義務はありません。

企業ごとに出勤日数や勤務態度など査定基準が定められています。

しかし、就業規則で「賞与は年2回、賃金2カ月分を支給する」などと書かれている場合は、会社に支払いの義務が生じます。

夏季のボーナスは6月末支給のところが多いので、7月に住宅ローンなどのボーナス払いを設定している方も多いのではないでしょうか。

がん患者さんも例外ではありません。

がん患者さんの家計相談をお受けして5年目になりますが、5月・6月の相談は毎年ボーナス払いについてが多くなります。

がん患者さんでボーナスが減る、支給されないケース

がん患者さんに多いのは、ボーナス査定期間中に「休職していた」「退職した」などのケースです。

休職の扱いは企業によって変わります。

ボーナスが6月末~7月支給の場合は一般的に11月~4月が算定期間であるところが多いので、その期間に在籍していれば支給されるところもありますし、出勤日数や勤務態度により減額や支給されないというところもあります。

休職の場合は支給されたとしても、以前の額に比べると減る可能性が大きいです。

そこで住宅ローンなどボーナス払いにしていた場合にどうしたら良いのかと悩みが生じるという訳です。

この時期は税金関係の支払いも重なります。

固定資産税、自動車税、そして昨年退職された方は住民税もあり、大きな出費となります。

大きな金額が動くこの時期に大切なことは、

「慌てずに方向性を見定めること」

特にがん治療中の場合は、今後も治療費がかかるかと思いますし、家族との生活も大切ですよね。

今の体調、そして生活も考えながら方向性を見定めていきましょう。

「払えるところまで貯蓄でまかなう」の見極めは大切

貯蓄や保険の給付金があるので、とりあえずそこからなんとかしようと思っている場合は、実行する前に必ず「いつの時期まで支払いが可能なのか」を計算してみましょう。

治療が今後も継続する場合は、治療費や収入との兼ね合いもあるため、手持ち資金が残っている時にこれから先にお伝えする他の方法を選択したほうが良いかもしれません。

今回だけでなく念のため今後の支払いも見据えて考えることが大切です。

ですので、貯蓄については残しておかなければならない直近1年間で使用する予定の金額は除いてからボーナス払いの計算をします。

難しいのですがこの「払えるところまでは貯蓄でまかなう」の見極めは慎重にしていきましょう。

ここは、今後の治療継続や家族との生活のためにも大切なところです。

では次に貯蓄が少なくて支払い期限まで時間が無い場合の①応急処置と、少し時間ができたときの②現実的な返済方法の検討の2つをご説明します。

支払い期限が迫っている時には応急処置で各所に猶予の申し出

今月中など、支払い期限が迫っている場合は「滞納」を防ぐためにまずは連絡し猶予してもらいましょう。

「今後も支払っていく意思がある」ことを伝えることが大切です。

いくつも支払いがある場合は、次に説明する「試算」をしてからでないと今後支払い困難となってしまう可能性があります。

ですので現時点で支払い可能な額または「○○日までに支払っていける金額を提示するので、猶予期間をいただきたい」旨を丁寧に伝えることが大切です。支払先の確認は以下を参考にしてください。

  • ローン関係:借りているところ(例:住宅ローンは借りている銀行など)
    借りたときの書類や年末に送られてくる残高の書類に支払先の連絡が記載されています。
  • 税金関係:市町村役場の窓口
    送られてくる納税通知書を確認してみましょう。

時間が確保できたら、今後どう返済していくのかを考える

猶予というのは解決法ではなく、時間稼ぎの応急処置なので、いくらずつなら支払っていけるのかを今の収入をベースに、治療費や生活費、教育費など今後かかるお金を試算し、現実的な金額を上げて、猶予してもらっているところに再度交渉していきましょう。

重要なのは、以下の内容を数字で表わし、その中で算出した現実的な返済額を各所に伝えることです。

  • ボーナスが無い(減額)
  • 月々の収入も下がっていること
  • 治療費が今後かかってくること
  • 生活に必要な費用があること
  • ほかにも返済などがある(場合)

算出を行いやすくするための、「治療中の生活設計表」のExcel版も無料ダウンロードできますので、ご利用ください(ページ中盤)

がん治療が続くあなたが、ボーナス払いを乗り越えるために大切なこと

今回は比較的短期間での乗り越え方をお伝えしました。

しかし、あなたがもし今後も継続してがん治療を行う場合には、この機会に借入れそのものをどうするのか考えていかなければならないでしょう。

住宅ローンについては、残りの返済期間の長さ今後の復職や収入の見込みが重要になってきますので、「がんで住宅ローン返済に困った時の緊急対処法」も合わせてお読みください。

他複数のローンを抱えている場合は「借金を抱えるがん患者が治療を続けていくために」もお読みください。

どこから手を付けて良いかわからない場合は、一度がん患者に詳しいFP(ファイナンシャル・プランナー)に相談し、返済方法のシミュレーションを行うことで、解決策が見えてくる可能性が大いにあります。(→「がん患者がFPに相談すると何が変わるのか」)

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「誰にも言えなかったので、言える相手ができて良かったです。」(患者さんより)

あまりにもスピーディーにクリアになったので、積極的に活用して行くべきと強く感じました。」(患者さんのご家族より)

相談担当者:黒田 ちはる

10年間の看護師経験を持ち、現在も3つのがん診療連携拠点病院での家計相談員を務める、がん患者さん専門のFP(ファイナンシャル・プランナー)

制度だけでは解決の難しい患者さん個人の家計の悩みのサポートに専念するため一念発起し、2016年に看護師からFPに転身。

これまで千葉を中心に、悩みを抱える全国のがん患者さん、ご家族約250人のお金の相談を担当。

著書:「がんになったら知っておきたいお金の話 看護師FPが授ける家計、制度、就労の知恵」(日経メディカル開発)
全国で講演やテレビのコメンテーターも行っている。

特定の金融機関に属さない独立系のファイナンシャルプランナー(FP)です。
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