がんで障害年金受給開始後も生活に困るケースと解決法

「障害年金がもらえるのはありがたいけれど、生活が厳しい」という方に向けた内容です。

がんで障害年金を申請するとき、ゴールは受給ではない理由」でも述べましたが、がん患者さんでお金が支給される制度(傷病手当金や障害年金)を受給されている方の多くが、給料だった時に比べて収入が減ることにより生活費の悩みを抱えています。

ご相談にいらした方のケースをもとに、どのような解決策があるのかを、がん治療費と借金(ローン)返済専門の看護師FP黒田がご説明します。

障害年金の受給額での住宅ローン返済が困難なケース

【ご相談者】(個人情報は変更しています)

・50代、男性、妻と子ども(大学生)の3人暮らし
・直腸がん、重粒子線治療後に局所再発し、手術、抗がん剤治療を行う
・肺転移あり。体力低下もあり治療は経過観察中
・人工肛門造設している。

【悩み】

障害年金2級にて約15万円/月受給中。
医療費は「障害者医療費助成制度」が利用できるので、ほとんどかかっていない。
仕事は食品製造業だったが、体力が低下し傷病手当金を受給しながら2年休職し退職した。

現在は障害年金と妻のパートで生活しているが、今後の住宅ローン支払い(残り15年)もあり退職金を切り崩している。今後の生活が心配
妻は両親の介護もあり、現在のパート以上は働けない

【相談の実際】

今後これ以上の収入は見込めないため、現在の収入源(障害年金と妻パート)と他の資産状況の範囲内で、住宅ローン支払い方法や生活費のシミュレーションをいくつか行ったところ、支払い方の組み立て次第では現在の生活を維持していけることが分かりました。

【相談の感想】

「今の状況で、どこまでお金が続くのかを教えてもらえてよかったです。おかげさまで治療費はそんなに心配は無いのですが、収入が減った中で住宅ローンの支払いが続くことが心配でなりませんでした。うまくやっていけるよう頑張ります。」

(相談者より)

参考)「障害者医療費助成制度」とは

「障害者医療費助成制度」とは自治体ごとに定めている医療費助成です。

自治体により、助成の金額や対象は異なります。

ちなみに千葉市では300円の自己負担です。(1回の外来、入院は1日あたり)

障害者手帳1級、2級と内部障害3級(見た目にはわからない障害で人工肛門や小腸の障害、免疫不全症候群など)が対象です。

拙著「がんになったら知っておきたいお金の話 看護師FPが授ける家計、制度、就労の知恵」をお持ちの方は、330ページに詳しく記載していますので、合わせてお読みください。

障害年金は確かに助かる、しかし足りない時の解決法

障害年金はがん患者にとってハードルが高く、受給開始が決定された方は安堵されます。

しかし今回のように、住宅ローンの完済年齢が65歳以降の老齢年金受給年齢に差し掛かっている相談者は珍しくありません。

障害年金を受給されるということは、体調により生活や仕事に支障を来している方です。
なので、働いて収入を増やすということは難しいことが前提にあります。

ご家族も事情があり、収入を増やすことは難しいケースも多いため、こういった場合は、

障害年金の金額+他の収入源、そして資産の範囲内どれだけ支払い関係を楽にしていけるかにかかっています。

今回の方は医療費助成が適応されていますが、適応で無い方は今後の治療費も試算していく必要があります。

がん患者さんの治療費捻出と借金(ローン)返済専門FPとして言えることは、返済同じ金額でも優先順位をつけ、順番を考えていくことで生活環境は変わるということです。

治療を続けながら、そしてあなたとご家族が大切にしたいことは守りながら経済的な負担を変えていくことは、十分可能ということです。

年齢や病状にもよりますが、今回の相談者のように50代の方は老後のことも同時に考えていくこともできます。

まとめ)障害年金だけでは足りない方がこれから行うこと

今回は障害年金受給額では足りない場合の解決策について解説しました。

障害年金の受給額で足りないときには、他に何か収入源となるものは無いか、そして今後の費用面をどうしていくかを早急に考えていく必要があります。

どこから考えたら良いかわからない場合は、一度がん患者に詳しいFP(ファイナンシャル・プランナー)に相談し、他に収入源がないかの確認と、家計のシミュレーションを行うことで、解決策が見えてくる可能性は十分にあります。(→「がん患者がFPに相談すると何が変わるのか」)

手持ちの資金が少しでも多いうちに考え始めるのが解決への秘訣です。

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相談担当者:黒田 ちはる

10年間の看護師経験を持ち、現在も3つのがん診療連携拠点病院での家計相談員を務める、がん患者さん専門のFP(ファイナンシャル・プランナー)

制度だけでは解決の難しい患者さん個人の家計の悩みのサポートに専念するため一念発起し、2016年に看護師からFPに転身。

これまで千葉を中心に、悩みを抱える全国のがん患者さん、ご家族約250人のお金の相談を担当。

著書:「がんになったら知っておきたいお金の話 看護師FPが授ける家計、制度、就労の知恵」(日経メディカル開発)
全国で講演やテレビのコメンテーターも行っている。

特定の金融機関に属さない独立系のファイナンシャルプランナー(FP)です。
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