妻が抗がん剤治療を始めるとき、夫が考える看病と仕事と家事育児

がん患者さんの夫に向けた内容となっております。

30代半ばから50代半ばまでは男性よりも女性の方ががんの罹患率が高いため※悩んでいる夫は多く、看病と仕事の両立や家のことはどうしたら良いか、親族や友人にはどう伝えたらよいかなど悩みは尽きません。がん患者さん専門の看護師FPが、「妻をサポートしていきたい」というあなたにお伝えします。

※乳がんや子宮がん、卵巣がんといったがんの発生率が高いため(参考:国立がん研究センター がん情報サービス)

妻が人間関係でつらくないようサポートするとともに夫自身のフォローも考える

1.子どもへの伝え方は慎重に

妻の病状や今後の治療スケジュール、そして子どもの年齢、性格によっても伝え方は変わってきます。妻の気持ちとともに、第三者の意見を聞くことや、情報収集しましょう。

妻の病状や心の状況をよくご存じの看護師や医療ソーシャルワーカーに確認している方もいますし、キャンサーペアレンツ(こどもをもつがん患者の仲間の支えあい)、ホープツリー(がんになった親を持つ子どもへのサポート情報サイト)からの情報を参考にしている方もいました。

2.親族や友人には妻に確認してから

良かれと思って親族や友人へ伝えたことで、憶測や夢のような治療法など連絡が来るようになり、精神的負担が大きくなってしまった患者さんもいました。

ですので伝え方や伝えるタイミングは妻に相談してからが良いでしょう。

夫自身が誰かに不安を打ち明けたいときには、病院の医療ソーシャルワーカーに受け止めてもらう方法をお勧めしています。もちろん私もお話伺いますよ。

夫自身の職場へはどのように伝えるのが良いか

「自分の仕事の今後に響きそう」とのことで、なかなか伝えられていない方もいましたが、仕事に影響が出てからでは遅いのです。

仕事の関係者にも迷惑をかけますし、ご自身もつらくなりますので、早めに伝えておくに越したことはありません。

自分は職場に伝えた方が良いのか。

ここを悩む方が多いですね。答えは妻の今後の治療方針と家族構成で変わってきます。

今までの相談者の例を紹介しますので、ご参考にしてください。

例1)入院して手術し、退院後は少しずつ家事育児に復帰できそう
⇒見通しがついている場合は職場に伝えずに乗り越えている方が多いです。

例2)3か月以上外来での抗がん剤治療が決定している。
⇒通院へのサポートや副作用の看病などが必要なことが多く、有給休暇や時差出勤など配慮してもらう方も多く、職場へ伝えている方も多いです。

例3)子どもが小学校低学年、実家にも頼れない
⇒家事育児のマンパワー不足なので残業への配慮、例2)のこともあり、職場へ伝えている方が多いです。

現状から予測できる看病や家事育児の程度により、会社に配慮していただく必要性があれば、早急に相談していくのが望ましいです。

 

そして働き続けるにあたっては、職場には一人でもいいので話せる人を作りましょう。

直属の上司、同僚など、緊急時にフォローしてもらえる関係性を築いておくことが大切です。病気や家族の病気、介護など皆さん事情を抱えながら仕事をしていますので、わかってくれる方はいるはずです。

家事育児の工夫で支出増を防止できる可能性も

お金の管理方法と家事育児についても考えていきましょう。

今まで妻が家計管理を行っていたという方は、治療により一時的に夫自身で管理していく必要がありますね。

家族が抗がん剤を始めるとき、お金の面でサポートできること

家事育児は家計を考える上でも重要です。

妻のサポートをするため、休日出勤や残業を減らし、収入が減ったという家庭も少なくはありません。

その一方で支出は増える機会が多くなるのです。

医療費に加え、妻の体調が良くない時には外食や加工食品の活用や、お弁当を外で購入するなど、今までかかっていなかった家事育児の費用がかかることがあるためです。

妻がほぼ一手で家事育児を担ってきていた家庭ほどこの傾向は強いですね。

 

こういった場合、多くの家庭が実践しているのはこちらです。

①夫や子どもが家事を分担する
②夫婦の両親や兄弟のサポート
③自治体や民間のサポート

 

①は夫が慣れない家事・育児、治療中のサポートを仕事と両立しようとするのは無理が生じやすいので、くれぐれも無理はしないようにしましょう。

家事育児の負担が特定の家族に集中してしまうと、長期的な継続は難しくなってしまうためです。

家事や育児の分担は夫も含めた家族全員の、それぞれの生活状況に近い部分から行っていきましょう。「家事分担リスト」を作成してみるのもお勧めです。

数ヶ月の治療から、効果の見られる限り継続していく治療など治療方針も様々ですので、体力的・精神的・経済的に可能な範囲を家族で話し合うことが長期的な視点では大切になってきます。

家族構成によっては工夫することで負担が一人に集中しないことが可能です。

この内容は、拙著「がんになったら知っておきたいお金の話 看護師FPが授ける家計、制度、就労の知恵」の157ページにも記載していますので、お持ちの方は合わせてご覧ください。

抗がん剤治療をする妻を夫が支えていくために行えること

妻ががんになった時に夫がこれから考えていくポイントはこの3つです。

「妻の人間関係をサポート」

「妻の負担を軽減するための家事育児」

「夫自身が倒れないように適度に息抜きをする」

そして家族が具体的な「利用できる制度」や「お金のやりくり」の知識を持ち、サポートできることは患者さんにとっても大変有効です。

患者さんのお金の悩みが軽くなり、治療にも専念できたり、安心した治療生活を送ることができるからです。

もし何からはじめればよいのかわからない場合は、がん患者に詳しいFP(ファイナンシャル・プランナー)に相談し、他の費用から治療費にまわすことが可能かをシミュレーションしてみると、解決策が見えてくる可能性は十分にあります。(→「がん患者がFPに相談すると何が変わるのか」)

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10年間の看護師経験を持ち、現在も3つのがん診療連携拠点病院での家計相談員を務める、がん患者さん専門のFP(ファイナンシャル・プランナー)

制度だけでは解決の難しい患者さん個人の家計の悩みのサポートに専念するため一念発起し、2016年に看護師からFPに転身。

これまで千葉を中心に、悩みを抱える全国のがん患者さん、ご家族約250人のお金の相談を担当。

著書:「がんになったら知っておきたいお金の話 看護師FPが授ける家計、制度、就労の知恵」(日経メディカル開発)
全国で講演やテレビのコメンテーターも行っている。

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