がん治療の傷病手当金や障害年金、お金で起きている6つの実態と対策
私はがん患者さんのお金の専門家として、オンライン相談や病院の相談会で毎月10名ほどのがん患者さんやご家族とお話しています。
メールの質問対応を含めると20名は超えているかと思います。
一人一人悩みは違いますが、皆さん共通しているのは、お金のことは抱え込んでしまっているということ。
そして特に傷病手当金や障害年金に関しては病院や制度の窓口でダメと言われたら、諦めざるを得ない状況ということ。
ダメというのを、「違うんじゃないか」「もしかしたら覆るんじゃないか」と動くためには気力体力が必要ですが、治療中の方やその家族は治療を行っていくのがやっとのことも。
そうして抱え込んでしまうケースが多いのですが、この記事を見て 「他の確認の方法をしたら、もしかしたら可能性があるかもしれない」 のきっかけにしていただけたらと思います。
ここ最近、本当に多く寄せられる6つをご紹介します。
どこでも起きていることばかりなので、まずは一人で抱え込まずに相談していただけたらと思います。

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①無理して働いた結果、傷病手当金が認められなかった

→通院での抗がん剤治療でよくあるケース。
治療スケジュールによる体調の予測で無理をしない働き方と休職の計画がまずは大切です。
各健康保険組合によって就労不能状態の判断は異なりますので、他の方の発信している「月●●日の出勤だったら傷病手当金は通った」という情報はあなたが当てはまるとは限りません。
まずはご自身の加入されている健康保険組合のルールが第一ですね。とはいえ、申請してみないことにはわからないケースが多いのも事実です。
業務内容や職場の考えなど、様々な面から考えていく必要がありますね。
傷病手当金についてはこちらにまとめてありますので、ご参考にしてください。
「がん治療中に傷病手当金が支給されないケースと2回目も支給されたケース」
②来月からのお金の工面が難しく、希望する生活が送れなくなった

→身体と同じで、お金も早期であるほど増える対処の選択肢。
「年内まではどうにかなりそう」と考えていたら、年明けにもうやりくりの手立てが無くなり、福祉の手を借りたという方も増えています。
傷病手当金や障害年金という収入源となる制度は、申請して即日入金ではありませんので、2~3カ月は生活できるお金が必要です。
そして、今より家賃の安いところに引っ越ししようと思っても、敷金礼金、引っ越し費用などが必要になります。
住宅ローンについて銀行に相談に行くにも、支払いがゼロになるわけではないので、やっぱり2~3ヶ月くらいの生活資金は必要です。
金額ベースでお話しますと、
1ヶ月の支出と治療費が約30万円だとすると、2ヶ月で60万円です。
この60万円あるときと無いときでは、解決手段が変わってきてしまいます。
見通しがつきにくいがん治療だからこそ蓄えや収入があるうちに計画を立てていくことが重要です。
③障害年金は「目に見える障害でないとダメ」と言われ、申請を諦めた

→首都圏のがん診療連携拠点病院でも医師や医療関係者からまだこのような対応をされてしまい、諦めてしまっている方がいますが、これは違いますよ。
障害年金というのは、生活や仕事にどの位支障があるのか、検査データなども含めて総合的に判断されるものです。確かに国民年金加入者と厚生年金加入者ではハードルの高さの違いはありますが、申請されている患者さんは年々増えてきています。
ですので、一か所で可能性を否定されたとしても諦めずに確認していただけたらと思います。
障害年金については、こちらにまとめてありますので、ご参考にしてください。
「がん患者が障害年金申請する上で注意すること」
④主治医に「同じ治療をしている他の患者さんはもう働けているので、傷病手当金は書けません」と言われた

→一人一人治療の影響の出方は違いますし、仮に一緒だとしても働き方や職場の状況は異なるので、比較して働ける、働けないは判断することはできません。
⑤主治医と産業医で判断が異なった

傷病手当金は、休んだイコール受け取れるではなく、医師が労務不能と認め、最終的に健康保険のほうで審査が通った場合に受け取れるものです。
主治医は軽作業で仕事自体は可能と判断しても、産業医は安全配慮義務を考慮し休職と判断され、休んでも傷病手当金が支給されないというケースもありました。
主治医との情報共有により、ある程度は解決が望めそうなこともありますが、最終的に健康保険のほうでの審査により決まるため、申請してみないことにはわからないというのが実情です。
⑥仕事がつらくて辞めたいけれど、治療費や生活のために辞められない

→辞めた場合の収入源と、費用負担の軽減方法を確認し、収支の見通しが立てられると、この不安が減ります。
そうして退職し、休まれている方も周りに多くいます。
状況は一人一人違いますが、何かしら解決策は見えますよ。
難しそうに見えますが、無料メルマガ「看護師FP®通信」で状況が整理でき、不安が減った方も多くいますので、ぜひお試しくださいね。
まずは、病院のがん相談支援センターで相談を

がん相談支援センターとは、全国のがん診療連携拠点病院に設置された、がんに関するご相談の窓口のことです。
相談専門の医療ソーシャルワーカーや看護師によって対応してもらえます。
予約が必要な場合もありますので、必ず連絡してから伺うようにしましょう。
家族のみでも相談可能です。
他の病院にかかっている方でも可能な場合もありますので、もしもかかりつけの病院になければ、近くの病院で確認してみてはいかがでしょうか。
相談時間は限られているので、予め内容をメモしておくと良いですね。
相談支援センターでどのように相談すると良いかですが、制度のためというよりは、今の身体のつらさや働きたくても働けない状況をわかってもらいたいという伝え方が伝わりやすいです。
主治医との間に入って助言してもらえる場合もあります。
がん相談支援センターでも難しい場合

がん相談支援センターでのご相談で、ほとんどが良い方向に進みます。
ですが「主治医がそうおっしゃっているので…」ということもゼロではないんですね。
これは首都圏・地方・病院の大小や有名度など関係ありません。
「どのように伝えていけば、身体のことと今後の制度やお金のことを主治医にわかってもらえるのか」
ここがストレスになり、身体に影響してはいけません。
なので、その場合は私が一緒に策を考えています。
一人で抱え込まないことが大事です。
まずは無料LINEサービスに登録し、悩みを教えていただければと思います。

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筆者プロフィール

- がん患者さんのお金の専門家 看護師FP®
-
10年間の看護師経験を活かしたFPとして、がん患者さん、ご家族専門に年間およそ180件の家計相談を行っています。
治療費捻出だけでなく、安心して治療が行えるための生活費や教育費、住居費の悩み解決を得意としています。
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書籍:「がんになったら知っておきたいお金の話 看護師FPが授ける家計、制度、就労の知恵」(日経メディカル開発)
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