がん患者さんのお金の悩みは即日解決が難しい理由

YouTubeライブ
ミニ講座の様子です。上松先生とお話する形で進めていきました。

がん患者さんのお金の専門家、看護師FPとして、1/30(土)21:00より、東京大学病院の放射線治療医上松正和先生のYouTubeのライブに出演しました。

コロナ禍でのがん患者さんのお金の状況や、なぜがん治療中はこんなにもお金のことで悩むのかについてお話し、参加された方からも具体的な悩みをお聞きしましたので、振り返りたいと思います。

全国でもまだ少ない患者支援FPの現状

看護師FPががんの治療生活を家計の面からケアします

ミニと言いながら、内容が詰まっており、1時間弱になりました。

まずは、なぜFPががん患者さんの相談に?というところからお話しました。

日本FP協会が認定しているAFP・CFP®(資格更新しながらブラッシュアップしているFPのこと)は全国に20万人いますが、その中でも病院でがん患者さんの相談対応しているFPは所属するNPO法人がんと暮らしを考える会でも10人に満たないという状況で、FPの患者支援での分野はまだまだこれからです。

私が看護師からFPに転身したきっかけや、相談では単にお金の解決だけでなく、心や身体の負担も軽くなることが目標だということをお伝えしました。

なぜがん治療中はこんなにお金で悩むのかという背景や、傷病手当金や障害年金の誤解、住宅ローンが払えないときのつらい現状をお話しました。

好評だった「がんになった時に助けとなる資源」の図

がん治療中のお金と言えば、がん保険に焦点が集まりやすいですが、実際にがんになった時に助けとなる資源はたくさんあります。このピラミッドの図は上松先生にも大切だと好評でした。

これは、私が患者さんのサポート対応する上で大切にしている部分でもあります。

がんになる前と治療中を比べた、会社員や専業主婦のお金の実情や、生活保護を選択しないケースや支援しても解決しなかった例、FPに相談して良かったケースをご紹介しました。

がん患者さんのお金の悩みは即日解決が難しい

FPができること
お金の面を変えるには2、3ヶ月かかります。

最後に、FPがサポートすることによる患者さんやご家族のメリットをお伝えしました。

支払わなくても良いお金を浮かせられ、たくさんの制度やお金のやりくりについて調べたり検証する手間や時間を減らせることは体と心にとっての薬と同じ効果をもたらします。

今まで350名以上の患者さん・ご家族のサポートに携わらせていただいた経験より、がんになった後のお金の悩みというのは即日解決は無理だということを実感しています。

傷病手当金や障害年金も審査に時間がかかるため、2.3ヶ月はかかります。なので2.3ヶ月間過ごせるお金が手元にある状態でお金のことは取り組み始めていくのが良いと考えています。

「今月厳しい」という方は、どうにか解決法を一緒に考えますが、福祉の力を頼らざるを得ない状況もあります。

2.3ヶ月後の治療費、半年後の教育費や住宅ローン、1年後の生活費といったがん治療が長期化したとしても安心できるためのお金の取り組みを始めていってもらえたらと思います。

たくさんいただけた質問にお答えしました。

一つ一つ質問を順番にご紹介しながらお答えしました。

YouTubeライブに参加された皆さんから、コメントでたくさんの質問をお受けしました。

いただいた質問はこんな感じです。

✅高額療養費の限度額適用認定証

✅退職後の健康保険の選択や傷病手当金と失業手当の関係

✅お子さんの教育費のこと

✅障害年金の申請のこと

✅がん保険(特に通院給付金のことが多かった)

✅住宅ローンのこと(団体信用生命保険の質問が多かった)

✅保険の見直し

一つ一つ、可能な範囲でお答えしました。
難しかったのは、がん経験者とそうで無い方と両方の方々からの質問だったことです。

「備え」なのか、「これからの生活設計」なのかによっても、答え方は変わります。

また、お金に関しては、家族構成やもともとの収入、資産状況によって個別性が大きく、一般論では言い切れないところがつらいですね。これに関しては、個別できちんとサポートを続けていくことが一人でも多くの悩みに応えられることなのかなと感じました。

気になる質疑応答は、動画のなかでお話しています

筆者プロフィール

黒田 ちはる
黒田 ちはるがん患者さんのお金の専門家 看護師FP
10年間の看護師経験を活かしたFPとして、がん患者さん、ご家族専門の家計相談を行っています。2016年より全国から350名以上のご相談を担当してきました。東京都、埼玉県のがん専門病院などで家計相談員も務めています。気になることがありましたら、お気軽にご連絡ください。

書籍:「がんになったら知っておきたいお金の話 看護師FPが授ける家計、制度、就労の知恵」(日経メディカル開発)