「抗がん剤の治療費が払えない」を解決できた妻とできなかった妻の差

2016年よりがん患者さんの家計の立て直しサポートに携わるなかで、一番多かった悩みは「抗がん剤治療費が払えない」です。
1ヶ月以内~3ヶ月といった短期間での治療ならば、貯蓄やがん保険の給付金などでまかなうことが可能ですね。
しかし長期間の治療になると治療費は支出の一部となり、他の支払いにも影響を及ぼすようになります。

当事務所にサポートをご依頼されることが多いのは、「患者さんご本人」と「患者さんの奥さん」です。
患者さんご本人は男女それぞれですが、家族からは断トツで奥さんが多いですね。

今までのサポートから、抗がん剤の治療費で困ったときにはどのように考え、対処していくことが解決の早道なのかということが分かってきました。

ということで、今回は夫ががんになったときに、抗がん剤の治療費の悩みを解決できたケースとできなかったケースを振り返り、解決の秘訣をがん患者さんのお金の専門家、看護師FPの黒田が解説します。

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夫ががんになったとき、妻の抱える悩みは複雑

ご主人ががんになった場合、治療費が払えるのか、今後の生活はどうしようか、子どもの学費はどこから出していけば良いのか…と奥さんの悩みは尽きませんよね。

そこで生活を切り詰め、仕事を始める、増やそうと奥さんが自分のみで解決しようと試みます。

夫はがんになり、身体も心もがんばっているので、お金の部分は心配させたくないというお気持ちはすごくわかります。
預かっているお金の範囲内や分担しているお金の範囲内で切り抜けなくてはという思いも。

しかし大事なことを忘れていませんか?

妻一人では家計の改善は限界がある理由、①名義人でないことが多い

・夫は抗がん剤治療中で復職したばかりだから心配させたくない
・子どもは受験を控えているから心配させたくない
・うまくやりくりできないのは自分のせいだから、何とか一人で切り抜けたい

とサポートをご依頼された奥さんがいました。

奥さんと私で何度かオンラインで面談し、今の状況から利用できる制度や見直しできそうな保険のこと、そして住宅ローンのことなどをアドバイスしました。

次の月までに実行できていればお金の面に反映できているのではないかと奥さんも私も明るい兆しが見えて面談を終えたのでした。

ところが次の面談で奥さんから、○○と○○は手続きできたけれど、保険や住宅ローンは手続きできなかったとのご報告を受けました。

保険や住宅ローンは支出の中でも多くを占める費用でしたので、手続きの必要性は奥さんも十分ご理解されていました。
何か理由があったと思い、訪ねてみたところ、このようなことを打ち明けられました。

患者さんの奥さん

やっぱり主人には心配かけたくなくて、言えませんでした。
自分でどうにかしようかと思ったけど、保険や住宅ローンは主人名義だったから電話しても対応してもらえなかったんです。

「家族を気遣うあまりに、奥さんは自分を追い詰めてしまっている」

そう私は感じました。

支出の中でも多くを占めている住宅や保険など、契約を伴っているものについては、変更の際に名義人や契約者の本人が行う必要※があります。

奥さんが良かれと思って手続きしようとしても、患者さんご本人であるご主人が理解して一緒に手続きを行う必要があるのです。

これは奥さんだけの責任ではありません。

「どのようにご主人に伝え、夫婦で話し合っていくのか」

これが家計の立て直しでは重要だと、改めて考えさせられる機会でした。

※参考:生命保険文化センター「諸変更と届出」

妻一人では家計の改善は限界がある理由、②片方の家計の改善では限界がある

夫から毎月生活費などを受け取っている、共働きで支払い関係を分担しているなど、家計のやりくりはご家庭によって異なりますので、私も最初に「誰がどの部分を担当していたのか」を伺っています。

ここで気になるのが、悩まれている奥さんの多くが「自分の範囲内で何とか切り抜けよう」と考えていることです。
しかし、

片方の家計の改善では限界があります。

今まではお互いが収入の中で支出をまかなえていたとしても、今は収入が下がり、治療費がかかっています。
今までには考えられない複合的な原因によって赤字家計となっているため、奥さんの分担だけでの解決は難しいのです。
特に奥さんの分担は食費や子どもの習いごとなど、なかなか減らすことの難しい費用であることが多いということもあります。
だからこそご主人が管理されている金額と一緒に一つの家計として総合的に考えていくことが望ましいのです。

一つの家計にしたからといってすぐに解決できるわけではありません。

しかし奥さん一人の家計の改善だけに比べて効果が大きく早いのは確かです。

がんになってからのお金の悩み解決は時間がかかる

ここで、今までサポートに携わってきた350名超の方の家計の立て直しを振り返り、少し現実的な話をします。

がんに直結した減免制度や助成金はありません。
傷病手当金は休職してから早くて2ヶ月、障害年金に至っては申請してから3ヶ月以上時間がかかります。
そして支出を突然ゼロにできるような魔法もありません。

だからがんになった後に金銭的に困る方がいるのだと実感しています。

ではどのように解決しているのか。

最初の1~2週間は地道な探索作業です。
制度を探す、職場に相談しながら働き方の調整、そして支出も調整できないかといくつも試算して検証を繰り返します。

そして解決策が見つかると、実行し始めてから早い方で1ヶ月後には効果が見えてきますね。
なぜ1ヶ月かというと、お金というのは日々の生活の積み重ねの結果だからです。

つまりお金の解決策に即効性はないのです。

確かに即効性はありませんが、2ヶ月後の治療費の工面や半年後の大学の授業料、1年後の生活費といった先を見据えての生活の安心は得られています。

即効性がないときに一番に考えることは「今日動き出す」に尽きます。

お金に関しては今日動きだすのと来月動き出すので一番ちがうのは「こころのゆとり」です。
手持ちの現金も変わり、解決策の選択肢の多さやタイムリミットにも関係してくるので。

がん治療中は家族で「お金に関する意見のすり合わせ」が重要な理由

家計管理は一つにまとめることが望ましい理由について解説しました。

家計について話し合うきっかけにもなりますし、家計全体が見えると改善点が見つかりやすくなります。
さいごに家族でお金のことについて話し合うコツをお伝えします。

お金に関しては感情が入ってしまうとなかなか話が進まないこともありますよね。

お金というのは生活を送るために必要なものです。

つまり今の経済状況をみんなが正しく認識し、生活を見直すことも必要となってくるのでどうしても感情が入ってしまうのは仕方のないことなのです。

こういったどうしても言いにくい場合は、事情をよく知る第三者に協力を仰ぐのも解決法の一つです。

ひとつ第三者として介入し、家計の立て直しが成功したケースをご紹介しますね。

夫になかなかお金の苦労を言い出せなかった

以前サポートに携わったTさんは、共働き世帯では、夫婦で分担を決めていてお互いで管理されていました。

「家族には今まで通りの生活をさせてあげたい。主人が作った借金だけど、返すのがきつくなってきている。治療費も払うのが厳しいんです。でも私ががんばればなんとかなると思うんです」とおっしゃいました。

しかし借金というのは家計の立て直し以上に一人で取り組むには限界があります。いま、こうして借金の解決に向けて前向きに取り組もうとされているこの機会を最大限活かすために、家族に打ち明けてみてはと夫にどのように伝えるのかを一緒に考えました。

ご主人が在宅療養中にオンラインで夫婦同席の面談をしながら少しずつお話を進めていった結果、ご夫婦で解決方法のお話が進むようになり、解決に向けて実行できたというケースでした。

お子さんも含めて家族一人一人が今までとはちがう家計の状況と認識することは簡単ではありません。

「どうしてこうなってしまったのか」「こうしておけばよかったのか」と後悔の念も生じることもあります。

また、認識することで欲しいものやしたいことにも制限が生じるかもしれません。

しかし家計の立て直しをしていくためには、今まで以上に早めにお金のことや生活の思いや希望を家族で共有していくことが重要となってきます。

誤解しないでいただきたいのが、家族全員ががまんをするためのお金の情報の共有ではありません。

現実的な対応策を練りながら家族全員の希望をかなえていくための前向きなお金の情報の共有です。

家族全員の今後を見据えていくことからはじめよう

大事なこと

抗がん剤の治療費が払えないと悩んだけれど、解決できた妻のケースとできなかったケースをもとに、なぜ解決できたのかを解説しました。

お読みになっていただいたあなたには、もうお分かりだと思います。

家族に心配をかけたくないという気持ちもあるかと思います。
しかし2ヶ月先、半年後、1年後を見据え、家族全体の今後の生活をどうしていきたいのかを考えてみましょう。

悩みの解決の第一歩はそこからです。

抗がん剤治療費を払い続ける方法については、こちらも合わせてご覧ください。

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筆者プロフィール

黒田 ちはる
黒田 ちはるがん患者さんの家計改善専門 看護師FP
10年間の看護師経験を活かしたFPとして、がん患者さん、ご家族専門の家計改善サポートを行っています。2016年より全国から350名以上のご相談を担当してきました。
東京都、埼玉県のがん専門病院などで家計相談員も務めています。

書籍:「がんになったら知っておきたいお金の話 看護師FPが授ける家計、制度、就労の知恵」(日経メディカル開発)