がん患者の債務整理の選択は慎重に(相談者の感想あり)

がん患者さんとご家族のお金専門の看護師FP黒田です。

現在、月20件ほどがん患者さんやご家族からのご相談に対応していますが、治療費捻出に次いで多いのが借金・カードローン返済です。

全国から寄せられているので、地域は関係ないですね。

コロナウイルスの影響もあり、増えてきていると実感しています。

FPとしては、債務整理にならずに返済していける方法を相談者と一緒に模索しますが、何件か債務整理のご相談が続いています。

今同じように考えている方にも参考にしていただけたらと思い、一般的な債務整理とがん治療中の債務整理の考え方の違いを解説するとともに、ご本人の了承の上「相談者の声」をご紹介します。

特に最初が肝心だと実感した債務整理のご相談内容

E.Mさんはカードローンの返済が難しく数か月前に任意整理を選択しましたが、1社は折り合いがつかず、弁護士への手数料+ローン返済額が3万円から5万円になりました。

大腸がんで今後抗がん剤治療も半年間は継続予定です。

治療費もかかる中で毎月5万円の返済はキツイとのことで連絡をいただきました。

任意整理と自己破産の違いをおさらいしましょう。大まかなポイントはこちらです。

任意整理:利息カットし、元金(もともと借りた金額)は3~5年で返済し続ける。
クレジットカードは5年間作れない。
債権者(貸している側)と折り合いがつかない場合は利用できない。
住宅や車など没収されたくない債務は外すことができる。

自己破産:すべての利息・元金が返済免除になる。クレジットカードは7年間作れない。
連帯保証人に返済義務が移る。

当初は返せそうと判断し、任意整理を選択されていたE.Mさんですが、後々返済が難しくなりました。

こういった場合、任意整理の手数料に加え、自己破産手続きをするための手数料がかかることになります。

ですので、できれば最初の選択の段階で今後を見据え、債務整理のその後の治療生活を検証してから選択されことが望ましいですが、今回は何とか手数料を準備し、自己破産を行うことに決めました。

一般的な債務整理とがん治療中の債務整理の違い

私が借金返済の相談の際に確認しているのはこの5つです。

1.総返済額、金利

2.連帯保証人の有無

3.病状今後の治療スケジュール

4.家族構成と今後の家族の予定

5.預貯金の残高

一般的な債務整理の考え方としては、1.2.を見ながら収入の範囲内で返済可能かを考えていけば良いですが、がん治療中の方はこのあたりの考え方が異なります。

債務整理後の生活、つまり治療と生活が維持していけるのかという点も比重を置かなくてはならないのです。

がん治療は長期化することや、途中で方針が変更することもあります。

働くことが難しい場合、傷病手当金や障害年金といった制度による収入がメインとなりますが、利息がカットされれば支払っていける金額なのか、治療費や生活費とともに支払い可能かの判断が重要です。

治療や病状により、収入減の期間はどの程度なのかの予測も必要になります。

これによって、今後の生活設計が大きく変わるため、単純に借金の金額だけでは判断できないのです。

治療費や生活費として大切な預貯金を使い切らない段階で、解決方法を検証することも必要であることからも、タイミングは重要です。

収入(制度も含め)−今後の治療費、生活費
=①利息カットされれば返済可能なのか、または②利息カットしても返済が難しいのか

治療方針やお金の現状を踏まえ、慎重に検討したケース

T.Nさんは白血病で抗がん剤治療中です。これから移植予定なので、仕事の復帰の見通しは立っていません。今後の治療費とカードローン返済について不安が募り、連絡をいただきました。

T.Nさんの場合は利用できる制度の確認、家計やローン返済の内容を検証した結果、返済し続けるよりは債務整理が妥当なのではという結論に至り、任意整理と自己破産の比較検討を一緒に行いました。

比較検討の結果を踏まえて、かかっている病院での弁護士相談で法的な面からの確認をしていただくことになりました。

ご感想の一部をご紹介します(T.Nさん、男性、千葉県在住)

1.当事務所にご依頼する前に悩んでいたことを教えてください。

医療費を含めた月々の支払い関係

2.なぜ依頼をしてみようと思われましたか?当事務所を知ったきっかけも合わせて教えてください。

自分の治療費のせいで妻にこれ以上の負担をかけたくないと思いました。 知ったのは色々検索した結果です。

3.特に印象に残った説明があれば教えてください。

病院で弁護士相談をしてるという事。 障害年金という制度がある事。

4.感想を教えてください。

自分がお世話になっている病院で接点があった事、驚きました。
色々、参考になりましたし誰かに相談できた事で少し楽になりました。 ありがとうございました。

振り返り

ご感想ありがとうございました。
ご家族のことを思い、お話されていたのが印象に残っています。

カードローンの債務整理が行えた後にも、家計のやりくりやT.Nさんご自身と奥さんの働き方など、今後の生活に関して大切なことがあります。
体調が落ち着いたころにこのあたりも一緒に考えていけたらと思いますので、またお声がけくださいね。

債務整理の手続き自体は弁護士、司法書士が専門です。
しかし、

✅費用を捻出して返済が可能か検証
✅債務整理を返済額以外の生活費や治療費の面からも検証
✅債務整理後のお金のやりくり
(カードローン組んでいた方は現金でのやりくりも)

これらはFPが専門的に行える分野です。
債務整理自体も大切ですが、した後に安心して治療生活を過ごすために、FPを活用していただければと思います。
FPの活用方法はこちらをご覧ください。

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「誰にも言えなかったので、言える相手ができて良かったです。」(患者さんより)

あまりにもスピーディーにクリアになったので、積極的に活用して行くべきと強く感じました。」(患者さんのご家族より)

相談担当者:黒田 ちはる

10年間の看護師経験を持ち、現在も3つのがん診療連携拠点病院での家計相談員を務める、がん患者さん専門のFP(ファイナンシャル・プランナー)

制度だけでは解決の難しい患者さん個人の家計の悩みのサポートに専念するため一念発起し、2016年に看護師からFPに転身。

これまで千葉を中心に、悩みを抱える全国のがん患者さん、ご家族約250人のお金の相談を担当。

著書:「がんになったら知っておきたいお金の話 看護師FPが授ける家計、制度、就労の知恵」(日経メディカル開発)
全国で講演やテレビのコメンテーターも行っている。

特定の金融機関に属さない独立系のファイナンシャルプランナー(FP)です。
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