乳がん治療費と遠距離介護の悩みが同時に解決したケース

がん患者さん専門の看護師FPの黒田です。

今回は乳がんの治療費と生活費、そして遠距離介護の悩みが同時に解決し、安心して治療生活を送られている患者さんをご紹介します。

がん患者さんのお金の解決ポイントでもある、「これから大変になりそうだな」の気づきも大切ですね。

【患者さんの情報】

  • 50歳代女性、一人暮らし、乳がん
  • 手術を終えこれから放射線治療、分子標的薬と抗がん剤を6ヶ月行う予定
  • 他県に一人暮らしの父親がいる。要介護2、デイサービスやショートステイを利用しながら遠距離介護中(片道2時間)

【相談内容】「抗がん剤は副作用がきつそう。仕事と介護ができるのか心配です。治療費もかかりそうだし、家賃も払っていけるのか心配です。」

 

【アドバイス】

  • 現在のご本人の給料が減少した場合の生活費と治療費が支払っていけるのか試算
  • 休職した場合の傷病手当金でのやりくり、傷病手当金が受給満了してから老齢年金と個人年金が受給できるまでの生活設計の確認
  • 父親を呼び寄せた場合のメリット:生活費、光熱費、住居費の変化と収入の試算。遠距離介護の負担と不安の軽減
  • 父親を呼び寄せる場合の介護の相談窓口や住居引き払い、新住居についての説明

【ご感想】

「これからも治療が長引きそうだし、親のこともあるし、どうしようと思っていました。

親を呼び寄せた方が良いかなと思っていたけれど、実際に試算してもらって安心して呼び寄せられます。仕事もきつくなってきたら休職してみようと思います。」

【ポイント】

50~60代の患者さんに多い傾向は、仕事と親の介護とがん治療の両立という悩みを抱えていることです。

この世代は特に年金の受給開始年齢や資産・負債のバランスによって個人個人生活設計が変わってきます。

今回のケースは親御さんが賃貸に住んでいたので比較的スムーズに呼び寄せられましたが、持ち家の場合だと処分なども考えていかないといけませんので、もう少し時間がかかるかと思われます。

また、高齢の親御さんの場合は環境が変わることの適応についても注意深く考えていく必要があります。ケアマネジャーなど在宅支援スタッフとも連絡を取りながら親御さんの負担も最小限に呼び寄せられたら良いですね。

この患者さんは継続的に関わらせていただいているので、体調の変化で休職となった場合や親御さんの介護の状況が変わったらまた生活設計を一緒に考えていく予定です。

これから抗がん剤治療が始まる方へ

このように抗がん剤が始まる前のタイミングで「大変そうになりそうかな?」と気づけることがとても重要です。
あらかじめ治療前には医師や看護師、薬剤師から副作用の身体への影響を聞くことができるので、今の生活、仕事と照らし合わせてみると、大変そうかそうでないかを考えてみると良いですよ。

もしも大変だと思っても、事前により良い環境づくりができることで、安心して治療に臨むことができます。

 

この患者さんの場合は、治療でダウンしてしまうと父親のところに行けなくなることが気がかりでした。そして金銭的にも厳しく、どうしたら良いかと悩んでいましたが、親御さんと一緒に住むという選択で、「お金の負担」「遠距離介護の肉体的、精神的な負担」が軽くなりました。

 

ですがこの決断は簡単では無かったと思います。

思い悩んだ末にご相談に来られましたが、私の方から金額面や体調面、介護の裏付けを助言した結果、背中を押された形で決断に至りました。

漠然とした状況でなかなか決断ができない場合でも、選択肢ができることで決断できるケースもあります。体調面、お金の面で思い悩んだ時ほど選択肢があるのとないのとでは解決のスピードが違います。

 

お金や生活については気づいた時がタイミングです。

「何から手を付けたら良いかわからないけれど、このままだと大変そうになりそうだ」と気になった時は、あなたにとって解決に向けた良いタイミングです。

どこから考えたら良いかわからない場合は、一度がん患者に詳しいFP(ファイナンシャル・プランナー)に相談し、働ける場合と働くことが難しくなった場合の家計のシミュレーションを行うことで、気になる点が整理できるかと思います。

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相談担当者:黒田 ちはる

10年間の看護師経験を持ち、現在も3つのがん診療連携拠点病院での家計相談員を務める、がん患者さん専門のFP(ファイナンシャル・プランナー)

制度だけでは解決の難しい患者さん個人の家計の悩みのサポートに専念するため一念発起し、2016年に看護師からFPに転身。

これまで千葉を中心に、悩みを抱える全国のがん患者さん、ご家族約250人のお金の相談を担当。

著書:「がんになったら知っておきたいお金の話 看護師FPが授ける家計、制度、就労の知恵」(日経メディカル開発)
全国で講演やテレビのコメンテーターも行っている。

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