がん患者が住宅ローンを滞納しても競売を回避する方法

がん患者さん専門の看護師FP黒田です。

「毎月の抗がん剤治療で住宅ローンが払えない」と悩んでいる方向けの内容です。
最近だとコロナウイルスの感染拡大予防の影響で収入が下がり、悩んでいる方は増加しています。

がん治療中だと治療費との兼ね合いもあり、どこに相談に行ったらよいかわからない「相談難民」となっているのが、がん患者さんの住宅ローンの悩みです。

「病院に相談したら治療に影響がありそう」

「自分で決めた住宅ローンだし、自分で責任もって払わなくては」

「家族と一緒に住んでいる家だし、家だけは守らなくてはと思って」

「銀行に払えないと伝えたら競売にさせられそう」

と私のもとに相談に来られた段階で、精神的に追い詰められた方もいました。

これを読んでいるあなたが、ここまで自分を追い詰めずに解決への一歩を踏み出すために活用してください。

まずは銀行へ相談することで解決するのかを確認

住宅ローンの滞納には段階があります。今あなたはどのような状況ですか?

① あと3か月なら支払えそうだけど、今後滞納するかもしれない

② もう今月の支払いが厳しい

③ 貯蓄を切り崩している、医療、がん保険の給付金で支払っている

④ 治療を延期する、または税金や他の支払いの分をまわして住宅ローンを支払っている

⑤ キャッシングなど借金をして住宅ローンを支払っている
 

①の方は銀行に相談に行くという解決策があります。
良い方向に向かう可能性がありますので、検討してみてください。

がんで住宅ローン返済に困った時の緊急対処法

②の方は緊急性が高いですが、他の支払いは今月支払えそうでしょうか。

①を急ぎ行っていくのと、加えて治療費も今月厳しいようでしたら、治療費の対処法も考えていきましょう。

抗がん剤の治療費が払えず延期や中止を決断する前に

③の方は今まで備えで対処されているということですね。
ただ、蓄えていたお金がどんどん減るという心配はありませんか?

その場合は今後の見通しを立ててみると安心ですよ。

治療が長期化するようであれば、どの段階でもう一度支払い方法を考え直してみるべきかの予想もつきます。

算出を行いやすくするための、「治療中の生活設計表」のExcel版も無料ダウンロードできますので、ご利用ください(ページ中盤)

↑↑↑ご自身でも作成可能です。ぜひお試しくださいね。

④⑤の方はかなり思い詰めて考えた結果、このような対処法を行っているのだと想像できます。

この段階で一番大切なのは今後どうしていきたいのかです。

「治療を継続したいし、家を手放したくない」

これが今思うところではないでしょうか。

状況にもよりますが、まだ選択肢はあります。

ただ、時間が経つにつれ、選択肢が狭まってしまうことも確かです。

ですので、まずはあなた自身が今おかれている状況を確認し、解決への第一歩を踏み出していきましょう。

滞納したとしても、いつまでなら家を手放さなくても大丈夫なのか

滞納2ヶ月目:電話による催促

住宅ローンの支払いが滞ると、2ヶ月目頃に銀行の窓口担当者から電話がかかってきます。

この時点では銀行側も今後の対策を一緒に考えていくための連絡ですので、可能であれば電話に出て状況を説明してみましょう。

滞納3ヶ月目:催告書・督促状が届く

借りている銀行などから「催告書」が届きます。これは強い意味を持った支払い通知書です。

この催告書に対して対応を取らなかった場合、今度は「督促状」が送られてきます。

この通知が来た段階で滞納分をまとめて返済しなければなりません。

滞納5ヶ月目:期限の利益の喪失予告、6ヶ月目:期限の利益の喪失(最終請求)

期限の利益というのは、「期限が来るまでは分割払いができる」というあなたの権利です。
住宅を購入したときの契約通りの支払いをしている限りはこの権利がありました。

しかし返済の滞りが続くとこの権利は法律的に喪失してしまいます。

住宅ローンの残額の一括返済を求められてしまうということです。

この段階に来ると、銀行への相談する方法の「返済方法変更(リスケジュール)」の審査に通ることは難しくなります。

そして、この通知後も返済が行わらなければ、競売の手続きが開始され信用情報機関(ブラックリスト)への登録もされることになります。

がん患者さんは注意しておきたい団体信用生命保険

注意しておきたいのが、この時点で団体信用生命保険も終了となる点です。

支払えなくなる方の中には、体調が思わしくない方もいらっしゃいますので、念のためご説明しますね。

団体信用生命保険とは、亡くなったときや高度障害状態になったとき、あなたの代わりに住宅ローンの残額を支払ってくれる生命保険のことです。

仮にこの直後にお亡くなりになった場合、または障害状態になった場合は、団体信用生命保険も終了しているので、あなたや家族は住み続けられなくなる可能性があります。

滞納後6ヶ月目までなら住み続けられるかもしれない。しかし…

住宅ローンが支払えなくなってから6ヶ月目までは、返済額を減らしてもらい、返し続けられれば住み続けられる可能性があるというのが、一般的な流れからわかることです。

しかしあなたの場合は、現時点で住宅ローン以外の生活費や治療費の支払いがきつい、または借金を重ねているということですよね。

仮に住宅ローンの返済額が減ったとしても、経済的な問題が解決したことにはなりません。

住宅ローンだけではないので、「がん治療を今後も続ける」「安心して家族と暮らしていく」というあなたの希望も厳しくなるかもしれません。それだけは避けたいですよね。

あなたが住み続けるため今からできること

これからあなたが今できることは、「家族と「家」について話し合う」ことと、「家の価値を調べる」ということです。

何を話すのかというと、「今すぐでなくても、将来違う場所に住むこと」についてです。

なぜかというと、今すぐでなくても将来他の場所に移り住んでも良いと選択することができれば、競売を回避することが可能かもしれないからです。

今の状況ですと、競売を避けるためには「任意売却」や「家を担保にお金を借りる」「家を一旦売却し、賃貸で済み続ける」という3つの方法があります。

ここで今の家の価値が重要となってきます。

購入したときではなくて、現在の価値です。

今売りに出したらいくらになるのかという「資産価値」>住宅ローンの残りの場合には家を担保にお金を借りる方法や、家を一旦売却し、賃貸で済み続けるという方法で一定期間住み続けることが可能です。

一定期間というと短期間と思われそうですが、そうではありません。

家を担保に借りた場合はその借りたお金が続く限りという意味です。

一旦売却の場合は家賃が支払える限りという意味ですので、今あなたが住んでいる家の価値によって変わってきます。

あなたが治療を受ける期間やお子さんが卒業するまでといった期間限定になるかもしれませんが、住み続けながら治療を続けることも可能だということです。

今後働けて収入を得ることができると、また買い戻すという選択肢も出てきます。

家の価値によっては期待通りにはならないことも

今、あなたが住んでいる家が「資産価値」<住宅ローンの残りの場合だと、競売となる可能性があります。売却が決定後他の場所に移り住むということになります。

そこで、競売を回避する方法として「任意売却」があるのです。

任意売却のメリットは通常の不動産売却と同様に一般の市場で売却を行うため、競売とは異なり安く買い叩かれたりインターネットに公開されてプライバシーを侵害されません。

引っ越し代の交渉も可能です。

売却後に残ったローンも無理のない範囲での分割返済を交渉できる可能性がありますので、住む場所は変わりますが、負担が減ることで治療を継続することも可能です。

しかし、「税金滞納で差し押さえ」「銀行の反対」この2つのどちらかがあると、今までお伝えしたすべての方法は行えませんので、注意が必要です。

一番大切なのは、治療を安心して続けられることと家族が一緒に暮らせること

今回はがん治療中に住宅ローンを滞納しても競売を回避する方法について解説しました。

購入したときには、想定していなかった事態だと思います。

しかし今あなたと家族が優先するべきところは「この家」でしょうか。

それとも負担を軽くして安心して治療を継続することや、家族一緒に過ごすことなのでしょうか。

移り住むという選択肢は悪いことばかりではありません。

もしかしたら今よりも病院の近くに住める、実家に近くなるといったメリットがあるかもしれません。

反対に家を何とかして守ろうとした結果、考えるべきタイミングを逃してしまい、安心した治療生活や家族関係が損なわれてしまうケースもあります。

すぐには結論が出ないことかもしれません。

けれど住宅ローンを滞納してから6ヶ月目までは選択の時間があります。
体調が少しでも安定している時にご家族と話し合ってみましょう。

どこから話し合えばよいかわからない場合や、何から手を付けて良いかわからない場合は、一度がん患者に詳しいFP(ファイナンシャル・プランナー)に相談し、解決法それぞれのシミュレーションを行うことで、解決策がみつかるかもしれません。(→「がん患者がFPに相談すると何が変わるのか」)

家の価値については売却の選択をしないとしても、知っておく価値はあります。

査定は無料で行っているところも多いので、確認しておくと良いでしょう。

ただ、「知り合いの不動産会社には査定額のことで意見が言いにくい」など気がかりなこともあるかと思います。

どこに査定をお願いしたら良いか悩む場合はお気軽にご相談ください。

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相談担当者:黒田 ちはる

10年間の看護師経験を持ち、現在も3つのがん診療連携拠点病院での家計相談員を務める、がん患者さん専門のFP(ファイナンシャル・プランナー)

制度だけでは解決の難しい患者さん個人の家計の悩みのサポートに専念するため一念発起し、2016年に看護師からFPに転身。

これまで千葉を中心に、悩みを抱える全国のがん患者さん、ご家族約250人のお金の相談を担当。

著書:「がんになったら知っておきたいお金の話 看護師FPが授ける家計、制度、就労の知恵」(日経メディカル開発)
全国で講演やテレビのコメンテーターも行っている。

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