がん治療中に利用できる公的な制度として、高額療養費傷病手当金(健康保険)や障害年金(年金制度)は皆さんご存知だと思います。

今回は、あまり知られていない制度の一つである、社会福祉協議会が行っている貸付制度の生活福祉資金をご紹介します。比較的、所得の少ない世帯・障害者世帯・高齢者世帯に対して資金の貸付と民生委員及び社会福祉協議会が必要な相談支援を行うことによって、その世帯の経済的な自立と生活の安定を図ることを目的とする貸付制度です。

実際にこういった制度にたどり着かず、治療費や生活費、住居費や税金などを消費者金融で借りてしまっているケースもみられていますので、このような制度もあるということをお知らせしたく、記載しました。

当事務所の所在地である千葉市社会福祉協議会美浜区事務所にて、がん治療中の方が利用できそうな制度についてお聞きしてきました。

まず前提として、治療内容が複雑で見通しがつかないがん治療中の方には、返済原資が難しいことから貸付も難しいとのことでした。貸付を受ける方の殆どが骨折などで期間限定でお借りしているそうです。

その中でも、いくつか可能性のみえた貸付についてご説明します。

総合支援資金

現在は収入減少や離職等で生活困窮し、日常生活の維持が難しいが、今後再就職など見込める人が対象です。申込み、審査で2~3ヶ月要します。貸付期間も3ヶ月以内として、必要に応じて延長、貸付後就労支援や家計指導を受けることなど、要件があります。限度額は単身者月15万以内(複数世帯20万以内)。無利子(連帯保証人が立てられない場合は年1.5%)

緊急小口資金貸付

あくまでも臨時の生活費としての貸付制度です。医療費(医療機関と分割払いなど相談でも困難な場合)、解雇、休業、滞納していた税金、国民健康保険、年金の支払いによる支出増など。貸付限度額は100,000円以内、無利子、返済は12ヶ月以内です。

③ 教育支援資金教育支援費(無利子)

日本学生支援機構の奨学金制度(借受は子本人)や日本政策金融公庫の教育ローン(借受は親)優先の利用となります。

例)大学  月額65,000円×48ヶ月(4年間)=3,120,000が貸付限度額となります。返済期間は原則10年以内です。借受は子本人です。高等学校や専門学校も対象です。

就学仕度費(無利子)

入学に際し必要な軽費を貸付上限額500,000円にて貸付しています。入試合格後、奨学金などが間に合わない時期の入学金、教科書や制服などの費用に利用されているそうです。

④ 不動産担保型生活資金

65歳以上の低所得の方が対象で所有する不動産を担保に生活費を貸し付ける制度です。金融機関のリバースモーゲージのような制度です。65歳以上の方が同居であれば可能ですが、子が同居している場合(65歳以下の方)は利用できません。

生活資金担当者の方にお話を聞き、がん治療中の方の治療費や生活費に充てるには、審査期間や貸付期間を考慮するとやや厳しいかと感じましたが、利用方法が定まっていれば、十分活用していけると思いました。

③⇒がん治療中の方のお子さんで、進学資金が足りなくて進学を躊躇している方

④⇒高齢の夫婦や独居の方の治療費・生活費捻出方法の一つとして(高齢の独居の方のケースはこちら

(もちろん、①②も申請の方法によっては活用できる可能性はあると考えられます)

などです。このような資金調達とともに、FPとして支出面の調整見通しをつけていけることで、がん治療中の生活設計(ライフプラン)がより良いものになっていくと考えています。生活の不安が軽減されることでより治療に専念出来たり、家族関係の維持や治療生活の選択の幅も広がります。

しかし実際に治療中の方にとって治療費や治療に関連した費用の見通しを立てることは、予想以上に大変だという声は多いです。そういったがんサバイバーのお力になれたらと看護師の経験を活かしたFPとして日々活動しています。

今回は、千葉県の例を挙げましたが、各自治体でも同様の制度があるかと思いますので、ぜひ確認してみて下さい。

今後もこのようながん治療中の方が活用できそうな制度(税金や年金などを検討中)を載せていく予定です。

千葉県社会福祉協議会貸付制度

○ がん患者さん専門の家計相談のページ