医療費控除で補てんされるがん保険給付金を引く時の注意点
医療費控除に関しては、「がん治療の医療費控除で知っておきたいこと」に記載していますが、医療費から補てんされるがん保険の給付金の注意点があることはご存じでしょうか?
特にがん保険は色々な特約などありますので、紛らわしいですよね。
今回、相談者の方から寄せられた質問を基に、国税庁ホームページや税務署で確認した内容を、がん患者さんのお金の専門家、看護師FP®の黒田が解説します。
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黒田
今回は医療費控除のがん保険の給付金の差し引き計算がメインです。
医療費控除の基本は「がん治療の医療費控除で知っておきたいこと」をご覧くださいね。
医療費に紐づく給付金を引くのが基本
![入院](https://fpkuroda.com/wp-content/uploads/2020/10/0f3b5ba097dca705812c470fc660fa34.jpg)
よくある誤解として、「もらった保険の給付金よりも医療費が少ないから医療費控除ができない」です。
これは間違いで、例えば入院給付金は入院費、通院給付金は通院に対して出ているものなので、それぞれ相殺します。
余ったからといって他の医療費から引くことはありません。
国税庁ホームページの医療費控除の明細の書き方のページからExcel表がダウンロードできます。
入院費の場合まず赤枠の中にかかった費用を入力します。
そして水色の枠の中に、高額療養費の戻りがあった場合や今回のようながん保険の入院給付金で入った金額を入力します。
そうすると自動的に緑の枠に赤枠の金額を上限とした水色の金額が反映されます。
がん保険の給付金のルール
- 医療費よりも給付金が多い場合に補てんの金額に入るのは医療費の金額まで
- 給付金が余っても、他の医療費にまわすことはできない
差引計算は、その補填の対象とされる医療費ごとに行い、支払った医療費の金額を上回る部分の補填金の額は、他の医療費の金額からは差し引きません。
引用:国税庁ホームページ「支払った医療費を超える補填金」より
- がんと診断されたら100万円のような「診断給付金」は直接的な医療費の補てんとは限らないので引かなくても良い
- 働けないときの保険「就業不能保険」「所得補償保険」は直接的な医療費の補てんとは限らないので引かなくても良い
- 抗がん剤特約は抗がん剤治療費から相殺する
- 女性がん特約はどのような治療に対しての給付金なのかにより異なる
→例)乳房再建手術に対しての給付なら乳房再建手術費用と相殺 - 外見ケアの特約は、手術に対しての給付ならばその手術費用と相殺、ウィッグに対して出ているのなら、医療費控除の補てんには入れない
→元々医療用ウィッグは医療費控除対象外のため
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黒田
同じような給付金名でも保険会社によって内容が異なることがあります。
契約内容を見ても判断に迷う場合は給付の内容を保険会社に確認しましょうね。
管轄の税務署にも確認しておくと安心です。
給付金を正しく差引計算することで還付金も多くなる可能性
![大事なこと](https://fpkuroda.com/wp-content/uploads/2020/10/c7887a92414f854a9067849a51b9bb02.jpg)
がん保険の給付金のバリエーションは増えており、給付金が医療費を逆転していることも多々ありますが、きちんと差引計算することで医療費控除の対象となる医療費が減らずに済むこともあります。
備えとして入っていたがん保険を最大限活用できるよう、医療費控除も適正に行えると良いですね。
筆者プロフィール
![黒田 ちはる](https://fpkuroda.com/wp-content/uploads/2023/07/IMG_13391-150x150.jpg)
- がん患者さんのお金の専門家 看護師FP®
-
10年間の看護師経験を活かしたFPとして、がん患者さん、ご家族専門に年間およそ180件の家計相談を行っています。
治療費捻出だけでなく、安心して治療が行えるための生活費や教育費、住居費の悩み解決を得意としています。
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