がん患者が家計簿をつけなくても良い2つの理由

がん患者さんのお金の専門家 看護師FPの黒田です。

オンラインで全国の患者さんやご家族からの家計のお悩みに対するサポートを行っています。
その際に多く聞かれる質問について、ご紹介していきたいと思います。

サポート利用者からよく聞かれる質問はこの2つです。

1. 家計簿はつけた方が良い?
2. 家族が頑張って仕事増やした方が良い?

今回は1.の家計簿についてお伝えします。

家計簿の本質的な目的と、がん治療中ではどうなのかについて解説していきます。

家計簿とは

金額がピッタリと合うのが嬉しいという方も

ご存じのとおり、家計簿とは「家計の収入と支出などを記入する帳簿のこと」です。手書きのほか、エクセルやアプリなどで管理している方もいるでしょう。
つけている方は、節約をして、貯蓄に回すことを目的としているのが多いのではないでしょうか。
または記録代わりにつけているという方も。

家計簿の本当の目的、それは書いたことではない

「いつ、いくらで何を買った」
毎日コツコツとつけている方もいるかと思います。

ところで、ここに「なぜ」は書かれているでしょうか?

家計簿の本当の目的は振り返るための情報です。

振り返り、家計をより良くしていくため必要なのは、その買い物が

✅「必要」だったのか

✅「欲しいもの」だったのか

の分類です。

そして、大きな金額の記録は「いつ」というのも大切です。
大きな金額の動きはサイクルを予測し、準備することが赤字家計の予防になるためだからです。

ここまでは、一般的な家計簿の概要と目的についてお伝えしました。
このコンテンツをお読みの方は「では、がんになった場合に家計簿はつける必要があるのか?」が気になるところですよね。

実際に治療費や生活費の悩みを抱え、当事務所に家計のサポートをご希望される方の多くからこういった質問を受けます。

がんになると家計簿を気にする…なぜなのか?

患者さん

抗がん剤の治療費を払っていけるように、家計簿をつけた方が良いですか?
今までつけたことが無いんです…

「今まで家計簿をつけてこなかったから、今こんなにお金でつらい思いをしているのでは」と後悔している方もいました。

これは違います。

確かに今は治療費がかかり、働き方も変わり家計はつらいかもしれません。

しかしがんになること自体今までに予想できなかったことなので、今までのことは後悔する必要はありません。

現に時々赤字だったとしても、これまで生活破綻せずにやりくりされてきたのですから。

ですので、家計については今までとこれからは切り離して考えましょうね。

がん患者さんは家計簿をつけなくても良い理由はこの2つ

体調の波に合わせて、無理せずできることが大事

正直なところ、がん治療中の方に家計簿は基本的に必要ありません。

これは今まで多くのがん患者さんと家族の家計を見てきたからこそ言える事実です。

ですが今まで家計簿をつけることが習慣の方もなかにはいると思います。

数字として見ることで安心できるという方はそのまま継続されると良いと思います。

それ以外のがん治療中の方、ご家族が家計簿を付けなくても良い理由はこの2つです。

① 継続的につける必要性が無いため

② 心身に負担がかかるため

がん治療中の場合は治療費による支出の増加と収入減からなるべく

短期間で検証し、
浮かせられるところのポイントを掴み、
実行していくこと

これが大事なのです。
次の月から実行できることが重要です。

ですので、レシートをすべて集めて1円単位での食費はいくらかかっているのかまでの情報は必要ありません。
ここに労力を集中させる必要もありません。

家計簿をつけずに家計を改善する方法

通常、サポートではこのようにしておおまかに家計の状況を確認し、即改善策の実行ができています。
ご参考にしてください。

① 通帳を確認し、引き落としで毎月かかっている費用を確認

② クレジットカードの明細を確認

③ 千円~万円単位で各費用を洗い出し、バランスを見る

④今ある資産を確認する(➡こちらを参考にするとまとめやすいです)

このような感じでOKです。

ポイントは使途不明金があるかどうか。

偏って大きな金額が発生していないかがわかればOKです。

ボーナスをもらっていた方ならば、その使い道も確認しましょう。

このように今までの振り返りが行えれば、今後の予算立てに役立ちます。

実際に当事務所で家計サポートを受けられている患者さんやご家族は、
上記の方法で「この費用は大体○万円です。」と把握できています。
このことからも、

あえてこれから1ヶ月間家計簿をつける必要性が低い

というのを実感しています。

そしてがんになる前と生活自体が変わっていることも多いため、振り返ってつけるメリットはありません。
家計の概要がわかれば十分です。

がんになった後は、家計簿で見えづらいところが大切

買い物

家計簿をつけることでよく見えてくるのが、食費や生活必需品といった変動費です。
治療費のために食費などの変動費を切り詰めようとしている方が多いのですが、これは逆効果です。

すごく使いすぎていないことがわかれば、そのままで良いケースがほとんどです。

家計簿の場合、毎月変動のある食費・水道光熱費・日用品費や大きな買い物の特別費がクローズアップされがちですが、ここは支出全体でいうと、金額的には大きくありません。

それよりは、毎月固定でかかっている「固定費」をきちんと確認することが大事です。

この固定費は毎月変わらない費用なので、家計簿では見えにくい項目です。
(変わらないから「固定」費なのですが)

外して良いものや減らして良いものを金額の大きいものから優先的に検証していきましょう。

この方が金額としては大きく治療費に回せる可能性があります。

そして…

がん治療中は食費など無理に節約して切り詰めることは良くありません。
切り詰めようとして、毎日家計簿とにらめっこすることが②の日々の負担につながります。これははっきりいって治療中には逆効果です。

体調が不安定な中、毎日家計簿をつけることは難しいですよね。
ご家族もサポートや仕事、家事、育児で忙しいなか、難しいと思います。
ストレスを感じてまで行う必要はありません。

患者さん

私は家計簿つけなくて大丈夫なんですね!

看護師FP黒田

基本的にはがん治療中の方や家族は負担が大きければつける必要はありません。
ただ、例外でつけた方が良い方もいるんですよ。

こういう人は短期間でも家計簿をつける必要あり

それは、「使途不明金が多い人」です。

数千円~数万円単位で各項目の費用を振り返った時に、

「どうしてもこの2万円の使い道がわからない・・・」

というように、数万単位で出た人は1ヶ月間の期間限定で、家計簿をつけることをお勧めします。

理由は、この数万円が浮くことで治療費や生活費、学費など大切な部分に回せる可能性があるためです。

しかし、治療中は体調の波がありますし、ご家族も事情が合って難しい場合が多いと思いますので、無理はしないでくださいね。

そういったときには、家計の専門家であるFPを活用されるというのも、長期的な家計改善を考えると良いかもしれません。

FPは節約アドバイザーと思われがちですが、細かい節約というよりは、固定費を中心に金融経済の知識を活かし、今後のお金のやりくりを一緒に考えていくことが可能なお金のサポーターです。

なぜ、家計簿をつけてこなかった53歳の肺がん患者の妻が、
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私、黒田は10年間の看護師経験を持ちながら、「高額療養費では解決できない、がん治療中のお金の悩み」が多くの患者さんにとって大きな負担であることを痛感してきました。FPのお金の知識を活用し、一人でも多くの方に安心した生活を提供したいという思いで、日々活動しています。

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筆者プロフィール

黒田 ちはる
黒田 ちはるがん患者さんのお金の専門家 看護師FP®
10年間の看護師経験を活かしたFPとして、がん患者さん、ご家族専門に年間およそ180件の家計相談を行っています。
治療費捻出だけでなく、安心して治療が行えるための生活費や教育費、住居費の悩み解決を得意としています。
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