がん治療中に子どもの大学進学を話し合うポイント

「治療費はかかるけれど、教育費だけは出してあげたい」

このような思いを抱えて家計相談にいらっしゃる患者さん、ご家族は少なくありません。

がん患者さんとご家族の家計相談を受けていると、治療費・住宅費用・社会保険料の支払いのほか多いのが教育費用のご相談です。

(よくある悩み)

  • 「どうやって子どもと話し合っていけば良いか…」
  • 「子どもが行きたい学校を教えてくれない。自分に気兼ねしているのではないか。」
  • 「治療費がかかる中でどうやって貯めていけば良いのか」
  • 「できることなら、子どもに負担をかけさせたくない。」

無理をして教育費を支払っているケースも見られています。「大きな病気にならなければ、本来だったらかけてあげられたはずの教育費用だから…」というお気持ちもわかります。

大切なのはどこまでかけられるのかです。

「線引きしろと言うのか!」と思われるでしょう。

しかし親子ともに辛くない卒業後の生活を送るためにも、ここと検討していくことは非常に大切です。

ここを強くお伝えしたい理由は、親子ともに学生生活以降の人生が続くためです。

無理をした結果親御さん自身の生活が苦しくなり、借金や子どもに仕送りしてもらっているケースもあります。

教育費をかけてあげたい親心も大切にしつつ、がん治療中の方は治療費や今後の生活とともに、お子さんの教育費のバランスを考えていくことが大切になってきます。そのためには親子での話し合いを十分に行うことが重要です。

ではいつ、どのように家族で話し合っていけば良いのでしょうか。

今回は教育費のピークである大学、短大、専門学校の受験費用、入学金、授業料を想定した話し合いのポイントをお伝えしていきます。ご参考にしてください。

教育費について話し合うタイミングと内容

大学・専門学校といった多くかかる教育費の親子で話し合うタイミングで適しているのは、「進路を決める時期」です。理由はこの3つです。

①進路説明会と給付型奨学金の説明があるため

②子ども自身、進路と進学先の費用や将来設計について考えられるため

③親(患者さん、ご家族)も教育費用に充てられる金額が具体的にわかるため
(ここまで貯められている、あとこのくらいは可能といった具合に)

 

話し合う内容のポイントとしては、

  • 何を勉強したいのか、どのような職業につきたいのか
  • 進路希望先の受験費用・入学費用・授業料
  • 自宅から通学なら交通費、自宅外なら住居費、下宿させてくれる親類の有無
  • 親のライフプラン(今後の治療費や働き方も含む)から算出した教育費として出せる金額
  • 奨学金を借りるなら、子どもが月々返済可能かどうか(子どものライフプラン)

 

希望や金額は具体的に書き出しながら話し合い、将来的に可能かどうかを検討してみましょう。一度の話し合いでは答えが出ることはあまりありません。数回に分けて気持ちの面、お金の面両方から話し合ってみましょう。

進学先の話と共に費用捻出についての考え方を子どもから話を聞いた方が良い理由

希望した学校で何を学びたいのかは進路を決める際には大切なことです。

しかしもう一歩踏み込んで「希望した学校で学んだことを活かし、どのような仕事に就きたいのか」についても話し合ってみましょう。

もし奨学金を借りるのであれば子ども自身で返済していくことになりますので、予想される給料からいくらまでなら返済可能なのかを検証していくためにも大切なことです。
ここには、親ががんを患っているということに対し、子どもがどのように受け止めているのかということも大きく影響を受けてきます。

進路のこと、その先のライフプラン、親の状況(今後予測される体調の変化や治療)について親子でじっくりと話し合うことが大切です。

子どもにここまで考えさせるなんて・・・と思われる方もいらっしゃいますが、実際のところお子さん自身は色々と考えていても、親には伝えていないケースがあります。

子どもが気持ちを抑えて、進路の希望を親に伝えていない、反対に親が子どものためを思って治療の継続をためらうなど様々なケースがありました。

子どもの人生を決める大切な時期ですが、親自身の今後も関係してくる時期でもあります。進路の話の際は先々のことまで含めて話し合っていくことが望ましいと感じています。

教育費自体を減らすということが目的なのではありません。親子で子どもの夢や進学の目的を共有し、思いを伝え合い調整していくことが大切なのです。

 

何を勉強したいのか、どのような職業になりたいのかという子どもの希望とともに、親としては子どもの希望に対して、どこまでかけてあげられるのかの線引きの判断が必要なのではないかと感じています。

このあたりに関しては、拙著「がんになったら知っておきたいお金の話 看護師FPが授ける家計、制度、就労の知恵」の164ページにも記載していますので、お持ちの方は合わせてご覧ください。

40~50代の患者さんには多い悩みの「がん治療費と教育費の兼ね合い」ですが、ここがスムーズにいき、在学中だけでなく親子ともに充実した卒業後の生活を送られているご家族が実践した方法はこちらです。

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「教育費用を賄う具体策」についてもでき次第アップしていく予定です。

おまけ)教育費は学費以外にも目を向け、総合的に判断する

「費用のことを考えたら国公立が良いのでは」とお考えの方へ参考にしていただきたい内容です。

進学先選びによっても教育費は変わることは皆さんご存知です。

とくにがんの治療を継続している方は治療費もかかるため、学費のかからない国公立大学の方が良いという声もありますが、学費以外も含めて検討しましょう。理由は実際の大学生活にかかる費用の平均額にも示されています。

(大学生活にかかる費用の平均)※授業料、生活費など合わせた年間かかる額

自宅から通う 下宿、アパート等
国立 1,090,100 1,743,500
公立 1,101,100 1,674,600
私立 1,759,400 2,492,500
平均 1,667,200 2,201,000

「日本学生支援機構 平成28年度学生生活調査結果」より作成

私立の方が入学金、授業料共に高いイメージはありますが、自宅外から通う国立大学と自宅から通う私立大学では、生活費を含めた全体の費用ではほぼ同じなのです。つまり自宅から近い私立大学であれば、一人暮らしのための家賃や生活費がかからない分、自宅外の国公立大学よりも全体的に費用がかからない場合があるということも。また、大学独自の給付金制度や授業料免除なども検討材料の一つとして、早めに情報収集しておくと選択肢が広がりますよ。

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