独居の高齢がん患者の家計の問題

こちらでは、『がん治療と仕事・生活の両立』についてのケース(事例)をいくつかご紹介しています。ご質問・お問い合わせはお問い合わせフォームよりお願いします。

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ケース③  独居の高齢者の社会面サポート

患者
  • 70代女性 膵頭部がん ステージⅣ 多発肝転移 
  • 夫は15年前他界し子供はいなく独居。
  • 唯一の身内である妹は海外在住、肝臓がん治療中。
  • キーパーソン不在。
  • 入院前は高齢者施設デイケアに通い、友人と会うことが楽しみであった。
  • 入院時には高年齢であること、症状より、「覚悟している。」と発言あり。
収入源 厚生年金、遺族年金
資産 本人名義の自宅(戸建)

民間の保険には未加入

金銭管理 後見人により管理
概要
  • 精査~減黄の為のステント留置、抗がん剤治療を行う。終末期まで一度も退院せず。
  • 病状的には退院可能な時期もあったが、自宅の地理上の問題があり、独居での生活、通院治療は困難であった。
  • 何より本人の自宅に戻る理由や希望が無かった。
問題点
  • 頼れる身内がいないことで、本人へ最期の過ごし方について知らされていなかった。
  • 金銭の管理管理は後見人が行えても、生きる目標設定に応じた使い方やタイミングを知らなかったことで財産の使うタイミングを逃し、本人のやりたいことの実現には至らなかった。
看護師FPアドバイス
  •  告知内容に合わせたお金の使い方のアドバイス
  • 入院中でも行える本人の希望を取り入れるための資金作り。(妹とのテレビ電話や付き添いを雇い外出、個室へ移るなど)
  • 利用していない自宅の有効活用の提案(リバースモーゲーやセール&リースバック、マイホーム借り上げ制度、賃貸、売却など)

独居のがん患者は増えています。利用できる制度はありますが、高額療養費や介護保険だけでは解決できない、上記のようなケースもあります。

治療費の資金作りには、現金の他にも個人の資産を有効活用できる、このようなFP的アプローチがあるということをお知らせしたく、書きました。

お金の使い方の方法やタイミングは、人生観や疾患・治療に対する考え方、今後どのように暮らしていきたいかが反映されます。

当事務所はご本人やご家族の思いに寄り添ったアドバイスを心がけています。

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筆者プロフィール

黒田 ちはる
黒田 ちはるがん患者さんのお金の専門家 看護師FP®
10年間の看護師経験を活かしたFPとして、がん患者さん、ご家族専門に年間およそ180件の家計相談を行っています。
治療費捻出だけでなく、安心して治療が行えるための生活費や教育費、住居費の悩み解決を得意としています。
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書籍:「がんになったら知っておきたいお金の話 看護師FPが授ける家計、制度、就労の知恵」(日経メディカル開発)