一人暮らし「これから続くがん治療をどう乗り越えればいい?」
40代の一人暮らしの女性から個別相談が増えてきています。
基本、一人暮らしされているのは何でもご自身でこなせているという方が多いので、がんなど長期で治療を行う時に、「これからどうしたら良い?」「誰に聞けばよい?」となることが多いのだと思います。
40代、まだまだ若いですが、今までこなせていたことは一旦置いておきましょう。
この内容を読んで、「つらいときには一時的にサポートを受けても良いんだ」「助言してもらって動きやすくなる方が良いんだ」と感じていただけたら嬉しいです。
ちなみに今回の内容はがんに関係なく、一人暮らしの40~50代は将来に向かって考えていくべき内容でもあります。
今回は、がん患者さんのお金の専門家である看護師FP®の黒田が、一人暮らしの患者さんの相談を受けてきた中で、どんな時に皆さん困っているのか、どう対処していっているのかについて整理していきたいと思います。
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ネットや電話を駆使して自宅で全て完結できた例

乳がんで抗がん剤治療中のAさん(43歳)は手術後に1週間だけ職場復帰するも、抗がん剤治療が始まり仕事を休職。
体調に波はあるものの、抗がん剤投与後はダウンしてしまうため、外出が難しくなりました。
「今はネットで何とかなるので良かったです」
ネットスーパーの活用や支払い関係は予め引き落とし口座に準備しておくなどで対応したそうです。
抗がん剤が1クール終了した後は、体調の予測をしながら動けそうなときに予定を調整するなどして工夫しました。
補助が必要なケース

咽頭がんで抗がん剤治療と放射線治療を行っているBさん(47歳、男性)は治療による痛みにより飲食が難しく点滴を行いました。
体調は落ち着きつつありますが、体力が低下したため一人での外出が難しい時期がありました。
現在の住まいは家賃が高く、今後続く抗がん剤の治療費を考えるともう少し家賃を抑えたいという思いがありました。更新時期も近かったのですが、タクシーに乗れたとしても一人で不動産屋さんに行けるのか、そして希望を伝えたり交渉することができるのかと不安を感じていました。
障害年金の手続きに関しては社会保険労務士が契約のもと、代行を行ってもらえますが、基本制度の手続きや契約関係は出向いてご自身または家族が行わなくてはなりません。
一人で手続きが難しい方には、区役所や不動産会社などに行くまでのサポートや交渉や相談を補助してくれる人など、手続きをするため補助も必要な場合があります。
ご相談ではBさんのご意向を伺い、補助を行ってもらえそうな方の選定をお手伝いしました。
こういった場合、入院中であれば主治医による外出許可や外出のための準備や必要な手続きの洗い出しなど看護師や医療ソーシャルワーカーの協力も必要になります。
まだ先だけど、自分も親も元気なうちに準備をしたいケース

大腸がんの肝転移のため繰り返し手術と抗がん剤を行ってきたCさん(48歳、女性)は現在体調面の不調はありません。
主治医と相談し、いずれは在宅療養ではなく緩和ケア病棟に入ることを希望されました。
方向性は決まりましたが、緩和ケア病棟に入るための準備をどこから手を付けたら良いかと悩み、私のもとへ相談依頼されました。
「いまは動けるし、【いずれは】がいつ来るのかもわからないし、いつどのように準備したら良いか」
他県に住む80代の母親は健在です。母親には心配をかけたくないため、がんのことは伝えていませんでした。
「年齢的には母だけど、もしかしたら私の方が先にということもあるかもしれない」
「母には迷惑をかけたくないし、将来の介護費用も準備してあげたい」
病気でなくても40代、50代になれば親の今後のことや自身の老後のこと、いつかくる終わりを迎えることなど気になってくる年代です。
一人暮らしであれば、手続き関係は基本自分で行うことになるのですが、それが難しい場合はご自身でサポートしてもらえるところを探すことになります。
自治体も行ってはくれますが、要望にお応えできるほどのレパートリーなどはありません。
今回、Cさんが希望された内容です。
Cさんの希望
- 母に手続きを残したくない
- 自分の緩和ケア病棟の費用と母の将来の介護費用を準備したい
- 入院後もお金の管理はできるだけ自分で行いたい
- 友人には頼みづらいので、希望を聞いてくれる人を探したい
Cさんのようにいずれ緩和ケア病棟を希望される場合は自宅療養とは異なり、介護保険や社会福祉協議会の日常生活自立支援事業の金銭管理は利用する可能性が低くなります。
そして認知機能の低下も起こる可能性は低いことから、成年後見人も利用する可能性は低いでしょう。
ご相談で一緒に考えたことはこちらです。
現金を動かしやすい状態に
緩和ケア病棟への資金づくりや残ったら母親に使ってもらうためにも、所有している自宅や資産運用などの情報を整理し、現金化していくための計画を立てていきました。
また、入院中も金銭管理しやすい方法を一緒に考えました。
生活のサポートや入院後のサポート
買い物サポートや受診・入退院の付き添い、身元引受、保証人(病院によって)、郵便物の管理、医療者との話し合いの同席など介護保険では難しいサポートについてもどのようにするか一緒に考えていきました。
こういったサポートは希望がはっきりしていて、資金計画が行えていないと難しいものになりますので、Cさんは時間を使い、ゆっくりと焦らず一緒に考えていけたことが良かったのかなと思います。
希望も不安も人それぞれ、自分に合った方法を

一人暮らしの方は色々とこなせるだけに、多少つらくても自分でやろうという方が多いです。
しかし身体や心がつらいのは一人暮らしの方も家族と同居の方も同じですので、遠慮せずに医療者や私たち専門家に声をかけていただければと思います。
一緒に考えることで、新たな方法なども見つかるかもしれません。
私、黒田は10年間の看護師経験を持ちながら、「高額療養費では解決できない、がん治療中のお金の悩み」が多くの患者さんにとって大きな負担であることを痛感してきました。FPのお金の知識を活用し、一人でも多くの方に安心した生活を提供したいという思いで、日々活動しています。
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筆者プロフィール

- がん患者さんのお金の専門家 看護師FP®
-
10年間の看護師経験を活かしたFPとして、がん患者さん、ご家族専門に年間およそ180件の家計相談を行っています。
治療費捻出だけでなく、安心して治療が行えるための生活費や教育費、住居費の悩み解決を得意としています。
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