抗がん剤の治療費が払えず延期や中止を決断する前に
「抗がん剤の治療費が、もう出せそうにない」
がんが発覚した当初は払えていたけれど、がん治療が毎月毎月続くと蓄えやがん保険の給付金も尽きてくる。
このようなお悩みを抱えた方は見た目にはわかりませんが、多くいます。
これは毎月全国から治療費の悩みが寄せられているので言える事実。
なかには、精神的に追い込まれている方もいるのです。
「来月からの治療を続けるか迷っている」
「治療の回数を減らしてもらおうかと思っている」
「どうしても取っておきたかった他の大切なお金を使おうか…」
「借金でとりあえず乗り越えようかと」
多くは家族の生活を守ろうとしてやむを得ない状況です。
しかし実は、
抗がん剤治療の延期や中止を踏みとどまること
だって可能なのです。
治療回数を減らさなくても、借金しなくても、他の大切なお金に手を付けずに解決できるのです。
ただし、そのためには行動するための「お金の正しい知識」が必要です。
そこでこの記事では、治療を継続していけるための手段を具体的に、がん患者さんのお金の専門家、看護師FP®の黒田が徹底的に解説します。
難しいと思っても諦めないでください。
身体と同じで、お金のことも気づいた時が一番のタイミング。
行動に起こすことで解決への選択肢が増える可能性があるのです。
最後までしっかり読んで、すぐにでも行動を開始しましょう。
※なお、記載している事例はあくまでも個人的な治療情報ですので、全ての人に当てはまるわけではありません。ご自身の治療については主治医に確認されることをお勧めいたします。
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動画と一緒に観るとより理解が深まります
今まで寄せられた抗がん剤治療費の悩み
治療費が出せないので、治療を断念・延期したり、治療法を変更する
これは医療現場では珍しいことではありません。
今あなたが行っているがん治療が健康保険適応の治療法、いわゆる「標準治療」であれば、高額療養費によりひと月の自己負担額には上限がありますよね。
治療期間が3ヶ月といった、期間限定の見通しが立っているのであれば貯蓄や保険の給付金でしのげる可能性は高いでしょう。
しかし、「これからの治療費、払っていけるの?」と思い悩んだ方はこのような方々でした。
●まず1クール化学療法を行ってみて、検査結果で今後の治療方針を決めていくという人
●術前、術後に分子標的薬を行うことがわかっている人
●再発された方でずっと化学療法を行う予定という人
●免疫チェックポイント療法を行う人など
長期間治療が決まっていたり、検査結果次第で今後がわからないという人ですね。
さらに、
●子どもの教育費や住宅ローンなどがある
●一人暮らし
●カードローンや借金を抱えている
●もともと赤字家計
こういった家族構成や元々抱えているお金のことも関係している場合もあります。
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同じような状況の人ってたくさんいるのに、なぜ私は解決しないんでしょうか?
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治療費の悩みが大きくなる方は、抱え込んでしまう傾向がありますね。
身体のことを医療者に打ち明けるように、お金のことも一人で悩まないことが解決への第一歩なのです。
がん治療のお金の悩みが打ち明けずらい現状
「お金の悩みというのはどこに打ち明けたら良いかわからない」という声があります。
今打ち明けられそうな人はいますか?
「お金のことを医療者に聞くのは、治療よりもお金を優先しているのではないかと思われそうでとても言えない。」という方もいたので、もしかしたら病院にも言いづらいと思っていらっしゃるかもしれませんね。
今から紹介する方はまさに誰にも打ち明けられず、治療を断念してしまった方です。
がん治療の継続を断念したケース
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【患者さんの情報】
・40歳代男性、胃がんにより、抗がん剤の治療をしていた
・高額療養費の多数該当により月々の治療費は5万円ほど
・継続的にかかっているため3年間の合計治療費は200万円を超えていた
・治療開始当初中学生だった子どもも高校生となり、大学受験を控えていた
・住宅ローンが20年残っていた
治療を行っていない期間働けるかというと、これまでの治療の合併症で腹腔内膿瘍や肝機能の低下などで入退院を繰り返してきており、以前のような働き方は難しかったようです。
このような複雑な原因により、今後の収入増加が見込めないこと、そして継続した治療費の捻出が他の支出への影響が大きいため、治療継続を断念しました。
この決断に至った理由は患者さんご自身の気持ちが大きく占めていました。
「家族に辛い思いをさせてまで治療を行う意味があるのか…」
治療選択する際、病院では治療内容の説明とともにメリット・デメリットも説明します。
それを聞いた上で患者さん自身が治療法を選択するのですが、この時治療の効果の可能性を数値で聞きました。
この方は確率とお金と家族関係の間で悩んだそうです。
このような事例に関しては、拙著「がんになったら知っておきたいお金の話 看護師FPが授ける家計、制度、就労の知恵」の113ページや156ページにも記載していますので、お持ちの方は合わせてご覧ください。
どこを優先するべきか。
ここに患者さん自身の心境が大きく現れます。
治療を断念するまでには様々な葛藤があったと思います。
色々とご家族で話し合った結果でもありますが、医療者へは相談ではなく結果の報告だったそうです。
この患者さんが特殊なケースではありません。
国立がん研究センターが実施した、平成30年度患者体験調査(令和2年10月発表)では、「治療費用の負担が原因で、がんの治療を変更・断念したことがありますか?」という質問に対し、4.9%の方が「ある」と回答しています。
全国166施設で7,080人を対象とした調査であるため、「ある」と答えた方は約350名となります。
前回平成26年度調査では2.7%でしたので、やや増加傾向です。
背景として、「分子標的薬も保険収載されるようになってきているが、高額な医療費が経済的負担になっている可能性がある。」と記されています。
では、このような経済的な理由でがん治療の継続に悩んだ時、どのように解決したら良いのでしょうか。
今すぐできる!抗がん剤をやめない2つのポイント
ポイント① 医療者へどう打ち明けるか
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医療者にお金のことを伝えても大丈夫かと不安な気持ちもあるでしょう。
しかし、医療者は早めにあなたの経済面の悩みをキャッチできると、早めに対応することができるのです。
結果、あなたの治療や生活の選択肢は広がります。
まずは一番身近な医療スタッフに打ち明けてみましょう。
化学療法センターの担当看護師や相談支援センターの医療ソーシャルワーカー、看護師などに打ち明けている患者さんが多いですよ。
打ち明けられそうな時があなたにとってのベストなタイミングなのですが、医療者としても早めに知っていればもっと良い方法があったかもしれないということもあります。
あなたの場合はいかがでしょうか?
重要なのは、あなたはもちろんのこと、家族も含めた生活が大きく変わってしまう前です。
治療費の分割払いや使えそうな制度の案内など、解決方法が見つかると思います。
治療費の分割払いに関しては、「今までの治療費の支払い状況」もみながら病院が決定していくことになりますので、必ずしもで行えるわけではありませんのでご注意を。
限度額適応認定証が間に合わない場合は、高額療養費の貸付制度を利用することも可能です。
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病院で治療費を分割にしてもらえることになりました!
これでもう大丈夫ですね!
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いえ、治療費は猶予はしてもらえたとしても、ゼロにはなっていませんよ。
この金額をどのようにしたら支払っていけるのか、ここからが大切なところなんですよ。
ポイント② 治療費以外の費用にも視野を広げる
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今までは治療費自体のことについて述べましたが、それだけではやはり限界があります。
そしてがんという疾患名だけでは直結した制度や助成金はありません。
つまり、これからはこの2つを地道に行っていけるのかが解決へのカギを握るといっても過言ではありません。
- これから利用できる制度はないかを探る
- 治療費だけでなくお金全体をみていく
しかし、制度は探す⇒申請⇒審査と時間がかかるため、即効性が無いのが難点です。
ですので②を同時に行い、治療費に回せそうなお金を作っていくことが大切です。
今すぐ実践できる方法として、メールマガジンでの情報収集をご案内します。
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登録者が得られている5つの効果
- 漠然としたお金の不安が無くなり、安心して治療が行える
- 手続きにかかる「時間」とムダな「お金」を省くことができる
- 治療費を軽くするためにしてはいけないことがわかる
- 治療中に家計簿を始めない方が良い理由と、他の良い管理法がわかる
- 制度やお金の解決法を失敗しないために大切なことがわかる
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ポイントの2つとも、すぐにできそうですね!
ところで、治療費が払えないときに行ってはいけないことってありますか?
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そうですね、では最後に
行ってはいけないことも、押さえておきましょう!
治療費が払えないときに行ってはいけないこと
抗がん剤の治療費が支払えないときに絶対に行ってはいけないこと、
それは、
・クレジットカードで支払うこと
・キャッシングして支払うこと
この2つです。
治療費の捻出だけでなく、カード支払いの問題も生じてしまうためです。
支払いが苦しい状態での借り入れというのは、返済が困難になるリスクが非常に高いので止めておきましょう。
カードでの支払いを検討されている場合は、
実行に移す前に
ぜひご相談ください。
もし、あなたが既にクレジットカードの悩みもあるようでしたら、
「借金を抱えるがん患者が治療を続けていくために」も合わせてお読みください。
まとめ
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いかがでしたでしょうか。
今回は抗がん剤の治療費が出せないときの対処法として
「病院への相談」
「利用できる制度を探す」
「治療費以外の費用の調整」
について解説しました。
お読みになり、お分かりいただけたと思いますが、治療費に関しては
「これを行えばすぐに解決する」
といった魔法のような方法はありません。
治療費を作り出し、安心して治療を続けるために一番大切なのは、
1日も早く動き出すことです。
今回、気になる点があったという方は、もしかすると他にも適切に制度やお金のしくみを活用しきれていなく、もったいないお金の状況の可能性があります。
制度というのは時効があったり、後戻りができないこともあるため、動き出すのに一番大事なのは「気づいた時が最適のタイミング」です。
「今、使える制度は取りこぼしていないかな?」「他の支出を見直したら医療費にまわせるのかな?」と思う方は、個別相談をご活用いただくのをお勧めします。
あなたの情報を基にした制度やお金の方法をすぐに手に入れることができ、悩む時間とお金を有効活用することができますよ。
私、黒田は10年間の看護師の経験から痛感した「高額療養費では解決できない、がん治療中のお金の悩み」に対し、FPのお金の知識を活用して、一人でも多くの方に安心した治療生活を送っていただきたい、そんな思いで日々取り組んでいます。
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筆者プロフィール
![黒田 ちはる](https://fpkuroda.com/wp-content/uploads/2023/07/IMG_13391-150x150.jpg)
- がん患者さんのお金の専門家 看護師FP®
-
10年間の看護師経験を活かしたFPとして、がん患者さん、ご家族専門に年間およそ180件の家計相談を行っています。
治療費捻出だけでなく、安心して治療が行えるための生活費や教育費、住居費の悩み解決を得意としています。
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