高額療養費見直し問題、負担増の可能性が再浮上 看護師FPが感じる違和感
12月8日に開催された、高額療養費のあり方専門委員会をYouTubeで傍聴しました。
低所得者への配慮が感じられる議論が進んでいましたが、がん患者さんの相談を受ける立場からは違和感もありました。
がん患者さんのお金の専門家、看護師FP®として、今回の議論で感じたことや今後の取り組みについてお伝えします。
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良い兆しも見えてきた高額療養費の方向性
長期治療の方の多数回該当について現時点では「変更にはならない可能性」が示されており、長期治療を続ける患者さんの負担が急激に増えることは避けられそうです。
また、OTC類似薬(市販薬に近い医薬品)の保険給付については、「保険給付から除外せず、引き続き保険適用とする方針」が議論されています。
ただし、患者さんに特別負担を求める案も検討されており、今後の詳細に注目が必要です。(GemMed 2025.11.27.(木)記事より)
やっぱり来たか、中間所得者層の変更案
ところが12月8日に行われた今回の議論では、「区分ウ(年収約370万~770万円)」を細分化し、年収が高い方は自己負担限度額が上がるという方向に見えました。
イ(年収約770万~)との格差をなくすために上限額を上げるという考え方は理解できます。
高額療養費制度の所得区分は、2015年(平成27年)1月の改正以降、10年間変更がありませんでした。
この間にがん治療は高額化・長期化が進み、予後も改善していますが、現場では公的制度が治療の進歩に追いついていないと感じることが増えています。
現場で感じる課題
応能負担を掲げるなら、収入減に即時対応できる仕組みがないと、中間所得者層以上の『制度があっても治療継続が難しい』状況は変わりません。
FPとして家計相談を受ける中で、病気で働くことが難しくなり収入が減っても、高額療養費の自己負担限度額は健康な時の区分のままで大変という、高額療養費の所得区分アやイの方(年収770万円以上)の声をたくさんお聞きしているのです。低所得でなくても、医療費の捻出に苦しみ、治療の断念や変更、そして「思いやり」や「家族を守るための選択」が、時に離婚問題へと発展するケースも少なくありません。
今回、仮に高額療養費の所得区分ウのなかでも収入約500~770万円の方の自己負担限度額が段階的に167,000円に近い金額まで引き上げられる場合、収入減少や家計への影響を考えると、治療の継続や生活の維持に対する不安がさらに強まることは避けられません。
現場の声を調査結果として報告

以前実施した「働く世代のがん患者の経済的負担に関する調査」(一般社団法人患者家計サポート協会、2025年2月実施)では、回答者362名のうち、6割のがん患者が治療開始後に収入減少を経験しており、さらにそのうちの9割は収入が減ったにもかかわらず高額療養費制度の自己負担区分が変わらなかったことが明らかになりました。
収入減少された方の6割は賞与(ボーナス)が減った、または支給されなくなったと回答しており、厳しい家計状況の中で、経済的な不安を抱えながら治療を継続しています。
特に、収入が大きく減少しても高額療養費の自己負担限度額が変わらず、貯金を切り崩して治療を継続せざるを得ないケースが多く見られました。

この調査結果は、一般社団法人患者家計サポート協会として厚生労働省、国会議員への情報交換、そして癌治療学会でも発表しました。
目に見えにくい、中間所得者層以上の方の経済的負担
国や自治体の経済的支援(生活困窮者自立支援制度や給付型奨学金制度など)を受けようにも、元々働きながら収入を得ていたご家庭が困窮状態になるまでにはタイムラグがあり、大変な時には受けることができません。
支援が無く自力で今まで通りの生活を維持することは難しく、中間所得者層以上の負担というのは世間一般が想像するよりも本当に重いです。
例えば、年収が700~1,000万円のご家庭は困らないというイメージを持たれやすいのですが、実際は家計相談の数も多く占めています。
40~50代の方はお子さんが高校生、大学生が多く、小さいお子さんであることも。
社会保険料や税金負担が大きく、教育費がかかる中で住宅ローンなども金利上昇の負担があり、老後の貯蓄は子どもが独立してからというのは珍しいことではなく、がんになり収入減少と医療費負担により、生活が一変することもあるのです。
高額療養費制度が適用になるような治療を受ける就労世代の方は、収入が減る可能性があり、加えてここ数年でがん治療の長期化が進んでいることを鑑み、低所得者や年金世代の方以外の方も負担は大きいことを前提として検討を勧めていただけることを願っております。
これを読んでいただけている、患者さんやご家族のみなさんへ
患者支援に携わっているFPの私たちができることとして、より具体的な実態調査や支援方法を模索し、現場の声を届ける取り組みを進めていきたいと考えています。調査は前回同様、個人が特定されない形で行います。メールマガジンより協力依頼をしていく予定ですので、ご協力いただける患者さんやご家族はぜひメールマガジンのご登録をお願いします。
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