がん治療中のお金の見通しで得られる5つの効果

前回の記事、がん保険の診断一時金の実際に思うことにて一時金への考え方や治療生活の見通しをつけることが大切と伝えました。今回は治療生活のお金の見通しがつき、不安が解消されたり、困りごとが減ることでの効果について、がん患者さんとご家族を対象に家計相談に応じている看護師・FP(お金の専門家)両方の視点からお伝えしたいと思います。

がん治療中の悩みで多いのは、抗がん剤などの薬物療法で長期的にかかる治療費と生活費のバランスです。治療費を優先するために食費を減らしたりしている方もいらっしゃいました。家計は世帯で考えますので、家族がいる方でしたら住居費や教育費などにも影響している方もいらっしゃいます。

そういったがん治療中の治療費や生活費の悩みが解消されたらどんな効果があるでしょうか。
これまでお受けしてきた相談者さんの反応をご紹介します。

期待できる5つの効果

  1. より治療に専念しやすくなる。(身体のつらさが和らぐことにつながる)
  2. 心の安定や睡眠への良い影響
  3. 家族関係の維持や改善(患者さんご一家の生活の安定や夢の実現につながる)
  4. 治療を行う自分、社会生活を送る自分の両方に対し認めることにつながる
  5. 治療や生活の自己決定につながる

見た目では分からない効果ばかりです。しかし、そもそもがん患者さんやご家族のつらさというのは、見えにくいものが多いのも事実です。身体のつらさを判断する方法として、ペインスケールなど数値で表すこともありますが、実際のところ、患者さんが満足されているかどうかが最終判断となります。

つらさ同士が複雑に絡み合っている場合もあります。医療の現場では、がん患者さんのつらさはこのような図で表されています。

つらさは複雑に影響し合うこともありますが、一つが改善されると相乗効果で良い方向に向かうことがあります。治療生活の場が入院から在宅(通院治療)に変わり、生活やお金、仕事のつらさの比重が重くなってきている今だからこそ、ここの部分が解決される効果というのは大きいです。

お金という数字で見える効果に比べ、身体や心といった表すことの難しい効果の判定というのは、実際のところ患者さんやご家族にしかわかりません。しかし、私は看護師として患者さんのつらさが和らぐことの大切さを実感しているので、ここを目標に相談アドバイスを心がけています。相談内容の詳細については、がん患者さん対象の家計相談のページの方でご説明しています。

筆者プロフィール

黒田 ちはる
黒田 ちはるがん患者さんのお金の専門家 看護師FP®
10年間の看護師経験を活かしたFPとして、がん患者さん、ご家族専門に年間およそ180件の家計相談を行っています。
治療費捻出だけでなく、安心して治療が行えるための生活費や教育費、住居費の悩み解決を得意としています。
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書籍:「がんになったら知っておきたいお金の話 看護師FPが授ける家計、制度、就労の知恵」(日経メディカル開発)