【2026年8月】高額療養費制度の見直し後も変わらず大切な2つのポイント
「高額療養費制度があるから医療費は安心ですよね?」
相談の中で、このようなご質問をいただくことがあります。
確かに、高額療養費制度は医療費の負担を軽減するための大切な制度です。
しかし、制度の名前は知っていても、
- 自己負担額はどのように決まるのか
- 「8万円くらい」と言われる理由
- 世帯合算や多数回該当とは何か
まで理解されている方は多くありません。
患者家計サポート協会が実施した実態調査でも、高額療養費制度の仕組みを十分理解していた方は37%でした。
今回は、高額療養費制度の基本と、相談でも質問の多い「世帯合算」「多数回該当」についてご紹介します。
この2つのしくみは、2026年8月からの高額療養費制度の見直し後にも変わらず運用されますので、がん治療を行う方はぜひ知っておきたいポイントです。

高額療養費の見直しに関する記事、三部作です。
①高額療養費制度の見直し後も変わらず大切な2つのポイント(今回)
②高額療養費制度見直し|結局、負担は増える?減る?4つのケースで解説
③高額療養費制度の年間上限とは?がん患者さんが知っておきたい注意点
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講演会の内容をYouTubeとブログで発信しています

6月から10月にかけて、高額療養費制度に関する講演会のご依頼を多くいただいています。
患者さんやご家族へ直接お伝えできる機会をいただけることを、とてもありがたく思っています。
講演会では限られた時間の中でお話ししていますが、
「もう一度見返したい」
「あとから家族と一緒に確認したい」
「参加できなかった知人にも伝えたい」
というお声をいただくことがあります。
そこで、講演会でお伝えしている内容を、YouTubeやブログでも少しずつご紹介していくことにしました。
講演会にご参加いただいた方には振り返りとして、参加できなかった方には、ご自身の場合を考えるきっかけとしてお役立ていただければ幸いです。
同じ内容をYouTubeでも分かりやすく解説していますので、ぜひあわせてご活用ください。
「高額療養費は8万円くらい」は正しい?
「高額療養費は8万円くらいですよね。」
相談でもよく聞かれる言葉です。実際には、この表現は半分合ってて、半分違います。

年収約370万円~770万円の方の場合、自己負担限度額の計算式は
80,100円+(医療費-267,000円)×1%
となっています。
計算式を覚える必要はありません。
知っていただきたいのは、かっこの中は自己負担額ではなく、医療費の総額(10割)で計算されるということです。
例えば、
- 医療費100万円なら約87,430円
- 医療費200万円なら約97,430円
- 医療費300万円なら約107,430円
となります。
つまり、医療費が高くなるほど、自己負担限度額も少しずつ増えていく仕組みです。
「8万円で済む」と思っていると、実際の請求額との差に驚くことがありますので、この点は知っておきたいポイントです。
マイナ保険証で窓口負担が軽減される
以前は、いったん30万円を支払い、その後払い戻しを受けるケースも多くありました。
現在は、マイナ保険証を利用することで、最初から自己負担限度額までの支払いで済むことが増えています。
ただし、高額療養費制度のすべての手続きが自動になるわけではありません。
次にご紹介する「世帯合算」は別の手続きが必要になる場合があります。
意外と知られていない「世帯合算」

例えば、
- 入院費7万円
- 外来4万5千円
- 調剤薬局5千円
このように支払いが分かれている場合、それぞれでは高額療養費の対象にならないことがあります。
しかし、条件を満たせば合算して再計算し、払い戻しを受けられる場合があります。
相談では、
「同じ病院だから自動で合算されますよね?」
「マイナ保険証だから全部やってくれると思っていました。」
という声も少なくありません。
実際には、加入されている健康保険によって申請方法が異なります。
国民健康保険では通知が届くことが多い一方、中小企業の方が加入する協会けんぽでは、自分で申請しないと払い戻しを受けられないことがあります。
さらに、医療費控除との違いも大切です。
医療費控除は税金の一部が戻る制度ですが、世帯合算は自己負担限度額を超えた医療費が払い戻される制度です。
対象になる方にとっては、戻る金額が大きくなることもあります。
今回は注意しておきたい個人単位をご紹介しましたが、【世帯】合算なのでのこのようなケースは合算が可能です。
世帯合算が可能なケース
①国民健康保険でのご家族(世帯)
②全国健康保険協会(協会けんぽ)や会社の健康保険組合、公務員などの共済組合の加入者と、扶養の関係性の方
なお、申請期限は2年間です。治療が続いている方は、一度振り返って確認してみることをおすすめします。
こちらも合わせてご覧ください。
長期間治療が続く方は「多数回該当」を確認

もう一つ知っておきたいのが、多数回該当です。
直近12か月(当月を含む)の間に、高額療養費に該当した月が3か月以上ある場合、4か月目から自己負担限度額がさらに軽減されます。
年収約370万円~770万円の方では、約87,000円から44,400円まで下がります。
これは、長期間抗がん剤治療が続く患者さんにとって、医療費の見通しを立てるうえでとても大切な制度です。
ただし、毎月その時点から直近12か月で判定されるため、「一度該当したら1年間続く」という制度ではありません。
休薬などで対象にならない月が続くと、多数回該当から外れることもあります。
さらに、
健康保険の変更
扶養に入る
国民健康保険で都道府県をまたぐ引っ越し
などでは回数がリセットされることがあります。
退職を予定している方は、医療費への影響も考えて手続きを進めることをおすすめします。
「自分の場合はどうなのか」を確認することが大切
高額療養費制度は、医療費の負担を軽減する大切な制度です。
ただ、がん治療では医療費だけではありません。

治療内容や医療費だけでなく、年齢や収入、加入している健康保険、働き方などによっても変わってきます。
そのため、「自分の場合はどうなのか」を確認することがとても大切です。
収入の減少、教育費、住宅ローン、生活費なども含めて考える必要があります。
「制度は分かったけれど、自分の場合はどうなるのだろう。」
そのような時は、一人で悩まず相談してください。
一番身近なのは、病院のがん相談支援センターです。
私が代表を務める患者家計サポート協会でも無料相談をオンラインで定期開催しています。

患者家計サポート協会では、制度だけではなく、働き方や家計も含めて一緒に考える無料相談を行っています。
また、継続的なサポートをご希望の方には、年間の家計シミュレーションを作成しながら見通しを立てる個別相談も行っています。
制度を知ることは第一歩です。
制度をご自身の生活の中でどのように活用するかを考えることが、安心して治療を続けることにつながります。
継続的なサポートをご希望の方は、看護師FP黒田ちはるの個別相談も行っています。
年間の医療費や生活費をシミュレーションしながら、今後の見通しを一緒に考えていきます。
私、黒田は10年間の看護師経験を持ちながら、「高額療養費では解決できない、がん治療中のお金の悩み」が多くの患者さんにとって大きな負担であることを痛感してきました。FPのお金の知識を活用し、一人でも多くの方に安心した生活を提供したいという思いで、日々活動しています。
一緒にお金の悩みを解決しませんか?
家計相談のご案内
治療費の不安を解消したい方に向けて、マンツーマンで行うオーダーメイド家計相談を行っています。
- 完全予約制で毎月新規の受付は3名限定です
- 継続相談が多いため、早めのご予約をおすすめします。
- 今月の枠が埋まっている場合でも、来月のご案内を優先的にさせていただきます。
筆者プロフィール

- がん患者さんのお金の専門家 看護師FP®
-
10年間の看護師経験を活かしたFPとして、がん患者さん、ご家族専門に年間およそ180件の家計相談を行っています。
治療費捻出だけでなく、安心して治療が行えるための生活費や教育費、住居費の悩み解決を得意としています。
治療費にお悩みの方は、まずは無料のメールマガジン「看護師FP®通信」をご登録し、登録者限定のがんとお金の情報をご活用ください。下の✉をクリックすると登録者の声やメールマガジンの詳細がわかります。
近著:【図解】医療費・仕事・公的支援の悩みが解決する がんとお金の話 (彩図社)
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