【2026年8月】高額療養費制度見直し|結局、負担は増える?減る?4つのケースで解説
2026年8月から、高額療養費制度が見直されます。
ニュースや新聞では「自己負担額が上がる」という点が大きく取り上げられていますが、実際には負担が増える方だけではありません。
年間を通してみると負担が軽くなる方や、負担のかかり方が変わる方もいます。
そのため、「今回の見直しは良い制度」「悪い制度」と一言で判断することはできません。
この記事では、実際のケースをもとに、
✅負担が軽くなる人
✅負担が増える人
✅負担のかかり方が変わる人
について、わかりやすく説明します。

高額療養費の見直しに関する記事、三部作です。
①高額療養費制度の見直し後も変わらず大切な2つのポイント
②高額療養費制度見直し|結局、負担は増える?減る?4つのケースで解説(今回)
③高額療養費制度の年間上限とは?がん患者さんが知っておきたい注意点
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今回の見直しで変わる3つのポイント
2026年8月からの見直しでは、主に次の3点が変更されます。

・月ごとの自己負担限度額が引き上げられる
・年間上限が新たに設けられる
・多数回該当の自己負担限度額が引き下げられる(年収200万円未満の場合)
「自己負担限度額が上がる」という情報だけを見ると負担が増えるように感じますが、実際には治療内容や医療費のかかり方によって影響は大きく異なります。
1.負担が軽くなるケース①
毎月あと少しで高額療養費制度の対象にならなかった方
患者さんの相談で非常に多いのが、
「毎月医療費は高いけれど、高額療養費制度にはあと少し届かない」というケースです。

高額療養費制度の対象にならないため、毎月3割負担を支払い続け、長期間治療が続くと年間ではかなり大きな負担になります。
今回新設される年間上限の対象になると、これまで年間約76万7千円だったこのケースでは、自己負担が約53万円となり、年間約23万7千円負担が軽くなるという試算です。
このようながん患者さんが対象になりそう
・乳がんや大腸がんなど点滴治療で、他のレジメンなど変更しながら長期治療される方
・肺がん・卵巣がん・血液がんなど長期間高額な内服のがん治療を続ける方
私は今まで、あと少しで高額療養費に届かず、毎月3割負担を払い続けている患者さんをたくさん見てきました。
だからこそ、今回年間上限が設けられたことは、本当に大きいと思っています。
この対象になる方は決して多くはありませんので、さまざまな意見があることも理解しています。
それでも、これまで医療費に歯止めがかからなかった患者さんに、年間という形でも歯止めがかかるようになったことは、とても大きな意味があると感じています。
2.負担が軽くなるケース②
年収約200万円未満で多数回該当に該当している方
今回の見直しでは、全体的に月ごとの自己負担限度額は引き上げられます。
ですが、年収200万円未満の方は多数回該当の自己負担限度額は引き下げられます。

どういうことかというと、年間上限での自己負担額が53万円から41万円まで軽減されるため、これを月単位にすると約3.5万円になるという形です。
でもこれには注意しなければいけない点があります。

ここが注意!
①7月の時点での所得区分で年収200万円未満と判定
②7月の時点で年間上限に達している
つまり、一旦は7月まで4.4万円を支払い続けて8月の時点で加入の健康保険に申請をして払い戻しを受けるという形です。
この年間上限のスケジュールは8月~翌7月になります。
現在の70歳以上の外来特例のスケジュールに準じているということですね。
もう一つ、これはあくまでも既に多数回該当になっているケースですので、現時点で該当していない場合はこのような経過となります。
①まず月額上限の6万1,500円から4.4万円の多数回該当となる
②7月の時点で年間上限になっていれば払い戻しを受けて結果的に約3.5万円となる
3.負担の形が変わるケース
少し分かりにくいのがこのケースです。
現在は多数回該当に該当していても、自己負担限度額が上がることで高額療養費制度の対象とならなくなり、結果多数回該当にならない場合があります。

青の現行の高額療養費だと、8万100円を超えた1%部分(計算方法は前回の記事を参照)が自己負担限度額となり、8月10月11月の3回高額療養費に達しているので、12月からは多数回該当になっていました。
これが、8月の見直し後には8月のみ8万5,800円を超えるため高額療養費に達しますが、10~2月は達しないので、3割負担になり、当然多数回該当にもならないということになります。
ただ、3月から負担が減っています。
これが年間上限です。(実際には自動的に支払わなくても良いわけでは無いので次回記事を確認してください)
「負担が増えてしまうのでは?」と思われるかもしれません。
しかし年間上限が適用されることで、年間では約2万2千円自己負担が軽くなる、こういったケースもあります。
月単位だけを見ると負担が大きくなると思われがちですが、このように年間で見ることが大切です。
4.負担が増えるケース
負担が増える代表的なケースは、年に数回医療費が高額になる方です。
自己負担限度額が引き上げられるため、その分自己負担額も増えます。

このケースでは、年間で約8万8千円負担が増える計算です。
ただ、年間上限(標準報酬50万円、年収770万円の場合)53万円を超えて支払う必要はないと書かれているとおり、今後は良い意味でも悪い意味でも年間上限が一つの目安になるのではと考えています。
「自分の場合はどうなのか」を確認することが大切
今回ご紹介したように、高額療養費制度の見直しによる影響は、人によって大きく異なります。
・負担が軽くなる方
・負担のかかり方が変わる方
・負担が増える方

治療内容や医療費だけでなく、年齢や収入、加入している健康保険、働き方などによっても変わってきます。
そのため、「自分の場合はどうなのか」を確認することがとても大切です。
さらにお伝えすると、高額療養費制度には見直しする前、つまり現在でも課題は山積みです。
- 収入が減っても所得区分はすぐには変わらない
- 世帯合算には条件がある(69歳以下)
そのため、今回の制度見直しだけを見て良い・悪い評価することは難しいと私は考えています。
大切なのは、「自分の場合はどうなるのか」を確認することです。
次の記事では、年間上限の注意点について取り上げますので、ぜひご覧ください。
「制度は分かったけれど、自分の場合はどうなるのだろう。」
そのような時は、一人で悩まず相談してください。
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私、黒田は10年間の看護師経験を持ちながら、「高額療養費では解決できない、がん治療中のお金の悩み」が多くの患者さんにとって大きな負担であることを痛感してきました。FPのお金の知識を活用し、一人でも多くの方に安心した生活を提供したいという思いで、日々活動しています。
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-
10年間の看護師経験を活かしたFPとして、がん患者さん、ご家族専門に年間およそ180件の家計相談を行っています。
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