【2024年10月開始】先発薬選びで抗がん剤の費用が月2万円増加!どう対処したら良いか

「抗がん剤の自己負担が高くなるそうです」
対象の抗がん剤での治療を行っている患者さんはいま、自己負担が増えるか後発医薬品(ジェネリック医薬品)にするかの選択に直面しています。

がん患者さんのお金の専門家である看護師FP®の黒田が、特別な料金のしくみや、これが患者さんに与える影響、そして今後考えるべきポイントについて解説します。

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2024年10月から始まる、健康保険が効かない「特別な料金発生」とは?

厚生労働省「令和6年10月からの
医薬品の自己負担の新たな仕組み」

後発医薬品(ジェネリック医薬品)がある場合、先発医薬品(長期収載品)の処方を希望すると、選定療養費(特別な料金)が発生します。選定療養費は、先発医薬品と後発医薬品の価格差の4分の1相当の金額です。
参考)後発医薬品のある先発医薬品(長期収載品)の選定療養について 厚生労働省

選定療養とは

選定療養とは、患者が希望する医療サービスや医薬品を選択する際に、通常の保険診療とは別に追加料金を支払う制度です。
がん治療においては、差額ベッド代(個室利用など)、時間外診療、大病院での初診、180日以上の入院などが該当しますが、今回の長期収載品の処方についても新たに対象となります。

厚生労働省「令和6年10月からの
医薬品の自己負担の新たな仕組み」

2024年9月末現在、対象医薬品リストには1,097の薬剤が掲載されています。(令和6年9月24日更新 対象医薬品リスト)
がん治療で使用される抗がん剤や副作用対策の薬剤、ホルモン剤、医療用麻薬なども複数含まれています。
抗がん剤の場合、月額で錠剤の場合2万円台、注射薬では4万円台の増額となるものもあり、患者さんやご家族にとって今後の医療費負担がさらに増加することが懸念されます。
参考)「10月より一部の患者さんのグリベックの自己負担分が増えます。」

厚生労働省は、長期収載品よりも安価な後発医薬品を積極的に推奨しています。

医療上必要か、患者希望かによって特別の料金が発生するか変わる

後発医薬品(ジェネリック)は形状や味が異なり、飲みにくさを感じることがあります。また、効果や安全性に不安を感じる患者さんも多く、先発品の方が良いと感じる方もいます。

厚生労働省「令和6年10月からの医薬品の自己負担の新たな仕組み~ 長期収載品の選定療養について ~」

まずは、【医療上の必要がある場合】に該当するかを確認しましょう。
医療上必要なのか、単に患者の希望なのかによって、特別な料金が発生するかどうかが変わるためです。

令和6年10月からの医薬品の自己負担の新たな仕組み~ 長期収載品の選定療養について ~(厚生労働省)では、医師又は歯科医師において、次のようなケースで、長期収載品の処方等又は調剤をする医療上の必要があると判断する場合には特別の料金を徴収しないと記載されています。

① 長期収載品と後発医薬品で薬事上承認された効能・効果に差異がある場合であって、その患者の疾病の治療のために必要な場合

② その患者が後発医薬品を使用した際に、副作用があったり、先発医薬品との間で治療効果に差異があったと判断する場合であって、安全性の観点等から必要な場合

③ 学会が作成しているガイドラインにおいて、長期収載品を使用している患者について後発医薬品へ切り替えないことが推奨されている場合

④ 後発医薬品の剤形では飲みにくい、吸湿性により一包化できないなどの場合(単に剤形の好みという理由では認められません。この場合の判断は薬剤師が行うこともできます)
※このほか、流通の問題などにより、医療機関や薬局に後発医薬品の在庫がない場合には、「特別の料金」を徴収する必要はありません。

不安な点がある場合は、主治医や薬剤師に相談することで解消されることもあります。
後発品に対する不安がなくなれば、これを機に後発医薬品への切り替えを検討しても良いかもしれません。

特別の料金を支払う場合の家計への影響とは

電卓

抗がん剤治療を受ける患者さんにとって、月額で2万円の増額は、非常に大きな負担となります。
これは、高額療養費制度による自己負担額に追加される金額です。

例えば、一般的な収入の方「ウ」の場合、8万円にプラスして2万円が必要になります。
多数回該当となった場合でも、4万4,400円に2万円が加わり、合計で6万円台となります。
長期にわたる治療では、毎月の負担がさらに大きくなるでしょう。

このような状況での対策として、高額療養費制度の世帯合算や医療費控除の適切な活用、さらに家計管理を見直し、医療費に回せるお金を増やす工夫が重要です。
特別な料金が発生するからといって特別な対策が必要というわけではありませんが、できることを確実に行い、家計全体をしっかりと管理していくことが大切です。

医療費の負担増加時代へ対応していくために

今後は、適用となる薬剤が増加し、選定療養における負担金がさらに増えることが予想されます。
つまり、今後も対象の薬剤が増える可能性がありますので、患者さんやご家族は身近な問題です。

患者さんが正しい情報を確認し、不安を取り除いた状態で治療に臨むことがますます重要になります。また、公的制度や家計管理の適切な活用が、今後の治療生活を支えるために一層必要となるでしょう。

秋は様々なイベントに参加予定です。
直接お会いできる機会があれば、お気軽にご質問くださいね。(ページ下部に看護師FP®黒田の予定表

私、黒田は10年間の看護師経験を持ちながら、「高額療養費では解決できない、がん治療中のお金の悩み」が多くの患者さんにとって大きな負担であることを痛感してきました。FPのお金の知識を活用し、一人でも多くの方に安心した生活を提供したいという思いで、日々活動しています。

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筆者プロフィール

黒田 ちはる
黒田 ちはるがん患者さんのお金の専門家 看護師FP®
10年間の看護師経験を活かしたFPとして、がん患者さん、ご家族専門に年間およそ180件の家計相談を行っています。
治療費捻出だけでなく、安心して治療が行えるための生活費や教育費、住居費の悩み解決を得意としています。
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