1年以上がん治療が続き、住宅ローン返済が不安なときに確認すべきこと

「とりあえず銀行に相談してみよう」——がん治療で住宅ローンの不安になったら、そうお考えの方も多いでしょう。
しかし、ここ1~2年で、この方法が最適解ではないケースが増えています。

看護師経験のあるファイナンシャルプランナー(FP)で、現在はがん患者さんとその家族の家計相談を専門に行っている看護師FP®黒田が、がん治療で住宅ローン返済に不安と感じている方が確認すべきポイントを解説します。

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治療の長期化でリスケジュールが逆効果になることも

「がん治療で住宅ローンが心配なとき、銀行に相談に行く前に知っておきたいこと」では、住宅ローンの支払いが難しくなりそうな場合、まずはローンを借りている金融機関(銀行など)に相談(リスケジュール)するのが基本とお伝えしてきました。

ただし、ここ1~2年の相談を振り返って、「とりあえず銀行に相談する」ことが最適でない場合もあることがわかってきました。

住宅ローン返済予定表

リスケジュールを行うことで一時的な支払いの猶予を得られるのはメリットですが、その猶予期間はほとんどの場合、半年から長くても1年程度です。さらに、猶予期間中も住宅ローンの支払い部分は支払い続ける必要があり、手数料も発生します。そのため、結果的に手元のお金が減ってしまうことが多いのです。

住宅ローンの支払いに悩んだときの選択肢は、リスケジュールのほかにも、自宅を担保にお金を借りる、賃貸として住み続ける、売却するなど多岐にわたります。住宅ローンの残債や自宅の資産価値、年齢などによって大きく変わります。

ただし、銀行に相談に行くことで、リスケジュール一択になってしまう可能性があります。

先々のことは誰にもわかりませんが、治療が長期化する場合には、早急にお金の全体像や今後の生活の見通しを立ててから、どこに相談するかを慎重に決めていくことが重要です。

近年がん治療の長期化が加速傾向にあります

日本では、2000年代以降、抗がん剤の種類が増え、分子標的薬や免疫チェックポイント阻害剤などの新しい治療法が登場しました。また、副作用対策も強化され、患者さんが治療を継続できる環境が整ったことで、がん治療の長期化が進みました。

ここ1~2年では、さらにその傾向が強まっています。従来は他の治療がうまくいかなかった場合に使われていた薬剤が、治療の初期段階から使えるようになった事も、この長期化の背景として考えられます。

これは大変嬉しいことですが、その結果、治療の初期から1年以上の治療が予定される方も増えています。そして、それに伴い家計に関する悩みも多様化しているのが現状です。

治療が始まる段階でこれからの家のことを考える

通帳と電卓

預金残高が減ってから考え始めると、余裕がなくなり、これからの家をどうするかについて正しい選択ができなくなります。そのため、以下の点を早い段階で確認し、家族で話し合うことが大切です。

  • 今後の治療スケジュールと期間
  • 収入の見通し(休職や復職、傷病手当金、職場の制度など)
  • 医療費以外にかかるお金のこと(生活費や教育費など)

これらのことを踏まえて、家族で今後の家についてどういきたいのかを一緒に考えていくと良いでしょう。

収入の見通しで特に重要なのが、収入がこれまでよりも減る場合、毎月どれくらい不足しそうかボーナス払いは問題ないかなどを具体的に確認することが必要です。

住宅ローンだけ猶予しても問題解決にならない場合も

これまでの相談者を振り返ると、住宅ローンの支払いに不安を感じる方の中には、他の支払いも厳しい状況がある場合が多く、住宅ローンだけを猶予しても問題の解決にはならないことがあります。

例えば、固定資産税や、マンションの場合は管理費、修繕積立金、駐車場費用などが挙げられます。 さらに、医療費や教育費、日々の生活費も含めて、総合的家計を考える必要があります。

そのため、治療が長引きそうな場合には、お金の全体像を理解し、今だけでなく将来も踏まえた適切な行動計画を立てることが大切です。その上で、どこに相談に行くのか、リスケジュールを選択するのか、慎重に判断することが求められます。

がん治療中にお金のことを考えるのがつらい場合はFPと一緒に考えましょう

大事なこと

住宅ローンだけでなく、これからの収入の見通しや利用できる働き方や制度の検討、支出の整理、家族全員の気持ちのすり合わせなど、考えることがたくさんあります。

これらを、これからがん治療を始める患者さんやご家族が、自分たちで情報を集め、整理し、決めていくのは非常に大変なことです。
このような場合には、患者サポートを専門に行っているFPがお力になれる部分ですので、一人で悩まずに一緒に考えていきましょう。

私、黒田は10年間の看護師経験を持ちながら、「高額療養費では解決できない、がん治療中のお金の悩み」が多くの患者さんにとって大きな負担であることを痛感してきました。FPのお金の知識を活用し、一人でも多くの方に安心した生活を提供したいという思いで、日々活動しています。

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家計相談のご案内

治療費の不安を解消したい方に向けて、マンツーマンで行うオーダーメイド家計相談を行っています。

  • 完全予約制で毎月新規の受付は3名限定です
  • 継続相談が多いため、早めのご予約をおすすめします。
  • 今月の枠が埋まっている場合でも、来月のご案内を優先的にさせていただきます。

筆者プロフィール

黒田 ちはる
黒田 ちはるがん患者さんのお金の専門家 看護師FP®
10年間の看護師経験を活かしたFPとして、がん患者さん、ご家族専門に年間およそ180件の家計相談を行っています。
治療費捻出だけでなく、安心して治療が行えるための生活費や教育費、住居費の悩み解決を得意としています。
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書籍:「がんになったら知っておきたいお金の話 看護師FPが授ける家計、制度、就労の知恵」(日経メディカル開発)