がん患者が申請できる障害年金と障害者手帳と介護保険のポイント

「同じ障害とつくけれど、何が違うのかわからない。」「がんでも介護保険って使えるの?」と疑問をお持ちの方向けの内容です。

がん患者さんが利用できる制度は少なくはありません。

しかしどの制度が自分に合っているのかを調べ、申請して審査に通らなければ利用できません。

今回は気になる障害年金と障害者手帳の違いと、介護保険についてがん患者さんのお金の専門家 看護師FP黒田がご説明します。

(よくある悩みと質問)

  • 障害者手帳がないと障害年金は受けとれない?
  • 主治医に障害年金の診断書は書けないと言われた。どうしたらよい?
  • 介護保険は末期でないと使えないと言われた
  • 申請には行けそうもない。誰に頼めばよいのか?

制度の申請は期限など決められていることが多いことと、がんの特性とも言える「症状が一定ではない」ことが大きく影響しています。

このあたりに関しては、拙著「がんになったら知っておきたいお金の話 看護師FPが授ける家計、制度、就労の知恵」の319ページにも記載していますので、お持ちの方は合わせてご覧ください。

1.障害者手帳と混同しやすい点

障害年金と障害者手帳

障害者手帳は福祉サービスです。交通機関の運賃割引や税の優遇、医療費の助成などです。

1~7級まであります。診断書は認定医のみ書けます。

障害年金は年金制度なので、月々受け取れるお金です。1~3級です。診断書はどの医師でも書けます。

この2つの制度、等級は連動していません。

✅例えば、喉頭部がんの患者さんで喉頭部摘出により声を出すことができなくなった場合…
→障害者手帳3級  障害年金2級

✅肺がんの患者さんで呼吸機能が低下し、在宅酸素療法を行う場合…
→障害者手帳3~4級  障害年金3級

両方とも障害とつくので、抵抗はあるかと思いますが、あなたにとっての制度やサービスを活用する手段として捉えるのはいかがでしょうか。

障害者手帳を取得することで、障害者手帳枠の求人で無理をしない就労を探すことも可能です。

そして等級によっては医療費助成を行っている自治体もあります。

脳転移や骨転移によりしびれや麻痺を生じている方など、がん患者さんの家計相談の現場でも多く出てくる制度の一つです。

2.介護保険の活用

介護保険申請書

頭の片隅でもよいので周りの方に必要な時に活用できる制度として知っておいて欲しい一つです。(参考:国立がん研究センターがん情報サービス「介護保険」

がん患者さんも40歳以上ですと利用できる場合があります。

末期がんとご本人に説明されている場合です。これはただの基準で余命よりも長く生存していても返却しなければいけないという決まりはありません。

自宅で過ごしたいと考える方にとって、この制度が活用できるかどうかで在宅療養の費用が大きく変わります。

余命と聞くと辛いから聞きたくないとおっしゃる方も多いですが、残された時間をだれと、どこで、どのように過ごしたいかを考えるにあたって、判断材料の一つになればと思い、最後に記載しました。

実用面については「がん在宅緩和ケアを費用の面から考えるポイント」に詳しく記載していますので、ご参考にしてください。

3.制度活用について大切なこと

制度に関しては「申請のタイミング」「手続きのマンパワー」が重要となってきます。

制度の申請においては期限が決められていることが多いことや、がんの特性とも言える「症状が一定ではない」ためです。

制度を申請したいと思っても、煩雑な手続きが多いためかあなたが申請をすることは難しいかもしれません。

その場合、ご家族が代わりに行うことが可能です。

しかし独居の方はそれが難しい場合があります。

そういった場合には、医療従事者にサポートしてもらったり、社会保険労務士など専門家に代行を頼むことも選択肢の一つとして考えておくと良いですよ。

筆者プロフィール

黒田 ちはる
黒田 ちはるがん患者さんのお金の専門家 看護師FP®
10年間の看護師経験を活かしたFPとして、がん患者さん、ご家族専門に年間およそ180件の家計相談を行っています。
治療費捻出だけでなく、安心して治療が行えるための生活費や教育費、住居費の悩み解決を得意としています。
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書籍:「がんになったら知っておきたいお金の話 看護師FPが授ける家計、制度、就労の知恵」(日経メディカル開発)