以前、「国民年金保険料の支払いが厳しくなったときの方法」に記載した障害年金についての続編です。

日本年金機構のサイト に掲載されている内容に加え、ここでは私が実際にがん患者さんより聞かれた内容などを踏まえ、注意する点を中心に記載していきます。

1. 障害年金とは

65歳までの方。年金保険料を納付している方が、申請し審査により受給できる年金です。65歳からは老齢年金受給となります。

<障害基礎年金・厚生年金の違い>

キーワードは初診日です

 

初診日とは、がんと診断された日ではありません。がんについて初めて医師の診療を受けた日です。例えば、肺がんの場合、咳が続いてかかりつけ医に受診した日などです。現在の加入している年金が国民年金だとしても、初診日にあたる日が厚生年金ですと、障害厚生年金に該当します。

(注意)初診日が証明できないと申請が難しくなるので、診察券や明細書は保管しておきましょう。医療機関でのカルテの保存は最低5年間です。長期の治療経過の方で、医療機関が廃院となっているケースもあります。ちなみに初診日が証明できない場合は、証明するための審査があり、提出物が多くなります。

2. 対象者

<等級の違い> 

3級は国民年金にはありません

 

がん患者さんですと、末期の方しか申請できないのでは?と聞かれることもあります。しかし私の知っている中では、

  • 「抗がん剤治療中はほとんど寝たきりで、介助が必要な状態」
  • 「以前の30・40%程度しか働けない」

などで障害年金を受給している方もいらっしゃいます。審査基準に「一日のうち50%以上臥床(横になっている)」があったり、その方の仕事内容や審査をする機関によっても対応が変わってきますので、「この状態だったら○級は通る」とは言い切れない現状があります。つまり同じ疾患・同じ症状でも個人差があるということです。

3級を受給しながらパートやアルバイトをしている方もいらっしゃいます。障害の程度が軽くなり、受給を止めることも可能です。ただ、障害年金と失業手当と呼ばれている雇用保険の基本手当は同時には受給できません。

 

3. 申請方法

① だれが行うのか

本人または2親等以内の親族、後見人など。本人以外は委任状 (クリックで書類のリンクに移ります)が必要です。

② 時期

初診日から1年6ヵ月経過したときの「障害認定日」に障害の状態にある場合に申請できます。

傷病手当金を受給している方は受給が終了する数か月前に申請準備される方もいます。審査の期間を逆算し、早めに準備を始めることで受給が途切れる時期を防ぐことができます。

③ 申請方法

申請書類は多いです。障害年金の申請書類一覧表

費用は、文書代の実費です。診断書や初診日証明のの文書費用によるので、医療機関により異なります。

「病歴・就労状況等申立書」は発病してから現在までの経過を詳しく記入する用紙です。経過が長い方はこれをまとめるのが大変だとおっしゃいます。日頃から日記などに体調や生活・仕事の状況をまとめておくと良いでしょう。

いつ、どの位困難になるのかを詳しく記入することが大切です。

例えば、「抗がん剤を行った〇日目には○時間ベッドから起き上がれなかった。」「家族の介助がないとトイレに行けなかった」「○時間働いたら○分休まないと仕事が続けられなかった」など数字を入れる方が分かりやすいかと思います。

 

書類も多く、手続きも煩雑です。疑問点や不安があれば、障害年金を得意とした社会保険労務士へご相談されることをおすすめします。

一度申請が却下されたものを覆すのは本当に大変です。

 

申請・審査に時間がかかるため、もしかしたら時間の足りない方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、ご本人がお亡くなりになった後でも「未支給年金」としてご家族に支給されます。

独身の若い患者さんで、貯金は無くても親御さんに何か残したいというお気持ちで申請された方がいらっしゃいました。税金は受け取った方の一時所得という所得税扱いです。相続税ではありません。

制度については、毎年のように変わっています。時間もお金もかかる申請ですので、「私は申請しても通るのか?」という疑問がありましたら、お一人で悩まずに、専門家にご相談されることが一番良い対応策だと考えます。

私は社会保険労務士ではありません。がん患者さんの家計相談において何回か社会保険労務士の方と一緒に行っていることもあり、がん患者さんにとって傷病手当金や障害年金といった社会保険や、就労支援の専門家として社会保険労務士は重要な専門家だと思っています。

文書作成費用については社労士によって異なります。初回相談は無料のところもあります。国の指針もあり、がん診療拠点病院には、社会保険労務士を導入しているところもあります。身近で信頼のおける専門家を知っておくことが一番大切かと思います。

 

次回は障害年金と混同しやすい障害者手帳や、介護保険などの制度について解説します。